研究課題/領域番号 |
18K09455
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
畑中 宏樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (80368050)
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研究分担者 |
外園 千恵 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30216585)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 網膜色素上皮細胞 / マクロファージ / 線維化 / 脈絡膜血管新生 / ヒストン脱アせチル化 |
研究実績の概要 |
AMD病態におけるOBP801の線維化抑制効果の検証:今迄検討してきたTGF-β、TNF-αに加えて、PDGFやFGFの影響を検証する。また、他臓器における線維化症の重篤化への関与が報告されているProstaglandinの影響も同等に検証を行う。今までTGF, TGF+TNFで線維化誘導を行っていたが、CTGFやPDGFでも網膜色素上皮細胞の筋線維化(αSMAの発現増強)が誘導されることが判明した。また、ECM (COL1, COL4, COL16) の発現増強も確認できた。さらに、誘導剤の種類や有無に関係なくOBP801はαSMAの発現をほぼ完全に抑えることが判明した。一方Prostaglandin E2は線維化によるECM (COL1, COL4, COL16) の発現を抑制したが、αSMAの発現に対する抑制効果はほぼ見られなかった。OBP801の効果の方が強力であった。 OBP801の血管新生阻害効果の検証とその作用機序の解明。OBP801の脈絡膜血管新生に対する直接的な抑制効果を、血管内皮培養細胞によるtube-formation assay 系を用いて実証する。ヒト臍静脈由来細胞(HUVEC)を用い、Endothelial Tube Formation Assay (CBA-200, CELL BIOLABS)で検討したが、1. 血管誘導と同時のOBP801添加では血管新生阻害効果は見られなかった。2. 血管誘導24時間からのOBP801処理に血管新生阻害効果が見られたが微弱であった。再現性の確認が必要であるが、OBP801のHUVECに対する直接的な血管形成阻害効果は無いか又は微弱であることが判明した。今後、マクロフアージや網膜色素上皮細胞などを含む複雑系での検定により作用標的が血管内皮細胞以外のどのような細胞にあるのかの検証が急がれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初提出の本計画内容の一部に対しては、やや遅れているが、当初計画内容に含まれていなかったOBP801の緑内障における濾過手術後の濾過胞結膜下線維化形成による眼圧上昇の抑制効果が明らかになり、網膜組織以外に結膜組織や線維柱帯組織の線維化抑制、同組織における多様な遺伝子の発現抑制の特徴づけに勢力をつぎ込んだ。本効果はウサギモデル系で結膜下注射、点眼投与でも効果が確認された。特許の申請も行い、英国ベルファストでの国際学会 (2018 XXIII Biennial Meeting of the International Society for Eye Research) でも2件発表した。この新しい成果を含めると当初の計画以上に進展しているとみることもできる。
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今後の研究の推進方策 |
AMD病態におけるOBP801の線維化抑制効果の検証については、AMD病態で形成される線維性組織の細胞由来が網膜色素上皮細胞(RPE)以外の他種細胞を含む可能性を考慮し、線維芽細胞の筋線維化に対するOBP801の抗線維化効果をWestern Blot, 免疫染色等の方法を用いて検証する。予備的な確認は結膜線維芽細胞で得られている。下記3点については残る2年で全力を傾注する。① OBP801における線維化抑制の分子メカニズムの解明。OBP801の持つ包括的な遺伝子発現抑制作用と組織線維化抑制効果の関係の検証についても進展は見られつつある。AMD病態で働く複数の遺伝子をsiRNA等により同時または別箇に阻害して、線維化阻害効果の検証を行い、遺伝子発現制御と線維化抑制作用の因果関係を立証する。また、② 包括的に発現が抑制される遺伝子群が共通のsignal系を介する可能性を考慮し、上流シグナル系の絞り込みを行い、OBP801による薬理効果の作用点を明確化する。③ 血管新生阻害効果の検証とその作用機序の解明については、OBP801の脈絡膜血管新生に対する直接的な抑制効果を、血管内皮培養細胞によるTube Formation Assay 系を用いて実証する。抗VGEF抗体とOBP801併用による血管新生抑制効果向上の可能性を検証する。効果的な血管新生阻害治療法の開発に繋げる。マクロファージとRPEの共培養におけるRPEの機能変化の分子機序の解明とOBP801の効果を確認する。また、この瘢痕化に対するOBP801の影響を検討し、薬効の評価をする。最終的に、視細胞およびRPEの障害(線維化を含む)の直接の抑制作用は同様に本モデル系で免疫組織染色にて評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の過程でOBP801の緑内障濾過手術後の濾過胞結膜下線維化形成による眼圧上昇の抑制効果が明らかになり、網膜組織以外に結膜組織や線維柱帯組織の線維化抑制、同組織における多様な遺伝子の発現抑制の特徴づけに勢力をつぎ込んだため、当該助成金が生じた。次年度は結膜線維芽細胞で得た予備的な確認をもとに、AMD病態におけるOBP801の線維化抑制効果の検証については、AMD病態で形成される線維性組織の細胞由来が網膜色素上皮細胞以外の他種細胞を含む可能性を考慮し、線維芽細胞の筋線維化に対するOBP801の抗線維化効果をWestern Blot, 免疫染色等の方法を用いて検証する。具体的には① AMD病態で働く複数の遺伝子をsiRNA等により同時または別箇に阻害して、線維化阻害効果の検証を行い、遺伝子発現制御と線維化抑制作用の因果関係を立証する。また、② 包括的に発現が抑制される遺伝子群が共通のsignal系を介する可能性を考慮し、上流シグナル系の絞り込みを行い、OBP801による薬理効果の作用点を明確化する。③ 血管新生阻害効果の検証とその作用機序の解明については、OBP801の脈絡膜血管新生に対する直接的な抑制効果を、血管内皮培養細胞によるTube Formation Assay 系を用いて実証する。抗VGEF抗体とOBP801併用による血管新生抑制効果向上の可能性を検証する。
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