研究課題/領域番号 |
18K09456
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
井上 真 杏林大学, 医学部, 教授 (20232556)
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研究分担者 |
伊東 裕二 杏林大学, 医学部, 講師 (00625569)
慶野 博 杏林大学, 医学部, 准教授 (90328211)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 眼底自発蛍光 / 黄斑円孔 / 黄斑前膜 / 黄斑色素 / リポフスチン |
研究実績の概要 |
緑色光眼底自発蛍光による、黄斑機能評価の有用性を検討した。対象は黄斑円孔に対して手術を行った44眼で、そのうち11眼にlamellar-hole-associated epiretinal proliferation (LHEP)、6眼に円孔縁に接着した円孔蓋がみられた。術前後で青色光と緑色光眼底自発蛍光を比較した。円孔は全例で閉鎖し、術6か月の視力は円孔閉鎖部での緑色光眼底自発蛍光の消失と相関したが、青色光眼底自発蛍光の消失とは相関しなかった。青色光眼底自発蛍光の残存は術中確認されたLHEPと円孔蓋断片と相関し、内在する黄斑色素を反映していた。 Human Eye Biobankから提供された黄斑円孔眼と比較眼のヒト病理切片において、網膜色素上皮層からの青色光と緑色光の自発蛍光分布はそれぞれ同等に観察され、励起光による自発蛍光の差は少なかった。 黄斑円孔で手術を行った390眼の検討では、LHEPは7.9%に合併し円孔閉鎖率と術後視力に影響しなかったが、光干渉断層計(OCT)で円孔閉鎖部の網膜内層に高輝度反射架橋組織が高頻度に検出された(Takahashi H. Retina 2020)。 術中OCTを使用した黄斑円孔33眼の検討では、内境界膜剥離後に円孔縁に残存組織が67%に存在し、その検出は術前の黄斑前膜とLHEPの有無に相関していた。残存組織がある症例で円孔閉鎖部の網膜内層の高輝度架橋反射組織の断層面積は有意に大きかったが、術後経時的に縮小した(Inoue M. Ophthalmol Retina 2019)。 円孔閉鎖後の網膜微細構造の修復過程はLHEPや円孔蓋による高輝度反射架橋組織で修飾されるため、青色光眼底自発蛍光での評価は困難である。緑色光眼底自発蛍光は黄斑色素で修飾されず、術後の視機能回復には緑色光眼底自発蛍光が相関し、その評価に有用であると考えられた。
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