研究課題
フックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)は、角膜内皮障害を生じる疾患であり進行すると角膜の白濁による重症の視力低下を生じる。近年、TCF4遺伝子の第3イントロンにおけるCTG反復配列の伸長が多くの患者に認められ、最も高頻度(罹患率約4%)なトリプレットリピート病である可能性が報告されている。一方で、CTG反復配列の伸長がどのように疾患メカニズムに関係しているかについてはほとんど分かっていない。本研究では、正常者およびFECD患者角膜内皮由来のRNA-seqを行い、FECD患者角膜内皮において発現が変動している遺伝子について網羅的に解析した。さらに、FECDに関連する細胞学的な現象についてGO解析などにより検討した。細胞外マトリックスに関係する複数のシグナルの病態への関与を示す結果が得られた。実際に、有意に発現が変動する遺伝子に多くの細胞外マトリックスに関係する遺伝子群が認められた。さらにはFECDの病態に関連することがRNAseqにより示唆された細胞外マトリックスに関与するシグナルを含む複数のシグナルについてFECD患者由来疾患モデル細胞やFECD患者の組織ライブラリーを用いて検証した。また、CTG反復配列を有するトランスジェニックマウスの作成に成功し、FECDの遺伝的背景および病態の解明に大きく寄与した。現在、この成果を受けてマウスモデルにおける疾患フェノタイプの解析や分子生物学的な解析を進めている。
すべて 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Scientific Data
巻: 7 ページ: -
10.1038/s41597-020-00754-1