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2018 年度 実施状況報告書

糖尿病性足壊疽における好中球NETsへのC型レクチン受容体の関与・治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K09473
研究機関東北大学

研究代表者

矢野 亜希子  東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70612224)

研究分担者 菅野 恵美  東北大学, 医学系研究科, 准教授 (10431595)
丹野 寛大  東北大学, 医学系研究科, 助教 (10755664)
高木 尚之  東北大学, 医学系研究科, 助教 (30569471)
館 正弘  東北大学, 医学系研究科, 教授 (50312004)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード糖尿病性足壊疽 / 好中球 / ネトーシス (NETosis)
研究実績の概要

糖尿病性足壊疽の難治性はよく知られており、好中球の機能不全がその要因の一つとされているが、詳細なメカニズムは不明であり、好中球に対する治療法もみられない。皮膚創傷治癒において、好中球は最も早く創部に集積し、初期の感染防御・炎症反応誘導に重要な役割を担う。その一方、炎症が過剰な糖尿病性足壊疽では、遷延した好中球がネトーシス(NETosis)に陥り、治癒の阻害に働くことが長年指摘されている。しかし、創部におけるNETosis誘導機序は明らかになっていない。
そこで今年度は、活性化した好中球にみられる特殊な細胞死「ネトーシス(NETosis)」の誘導機序を中心に解析を行った。
これまでに我々は、真菌の構成成分の一つであり、C型レクチン受容体の一つであるデクチン(Dectin)-2のリガンドであるα-マンナンを創部に投与すると、大量の好中球遷延を伴い創傷治癒が遅延することを明らかにしている。Dectin-2は好中球やマクロファージの細胞表面に発現することも確認している。本年度の解析により、Dectin-2がNETosis誘導に関わることを突き止めた。さらに、NETosis構成因子の一つである好中球エラスターゼを阻害することにより、遅延していた治癒が回復することを確認した。これらはDectin-2依存的な反応であった。
現在、糖尿病性足壊疽の治療において、好中球をターゲットとした治療法は開発されていないが、本年度の解析によりDectin-2阻害や好中球エラスターゼ阻害が有効である可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

糖尿病性足壊疽の難治化要因として、好中球機能不全、今年度は特に好中球にみられる特殊な細胞死「ネトーシス(NETosis)」の誘導機序に注目して解析を行い、下記の点を明らかにしたため。
1. C型レクチン受容体の一つであるデクチン(Dectin)-2がNETosis誘導に関わる。2. NETosis構成因子の一つである好中球エラスターゼを阻害することにより、遅延していた治癒が回復する。

今後の研究の推進方策

今後はDectin-2を介したNETosisが糖尿病下で増強するのか、また実際に治癒を阻害するのか、好中球が主因か(すなわち好中球除去によりこの現象がキャンセルされるのか否かを好中球を選択的に除去する抗Ly6G抗体を用いて検証する)について解析を行い、より詳細なメカニズムに迫る。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額には、今年度の研究を効率的に進めたことに伴い発生した未使用額であり、平成31年度請求額と合わせ、平成31年度の研究遂行に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Dectin-2-Mediated Signaling Leads to Delayed Skin Wound Healing through Enhanced Neutrophilic Inflammatory Response and Neutrophil Extracellular Trap Formation.2019

    • 著者名/発表者名
      Miura T, Kawakami K, Kanno E, Tanno H, Tada H, Sato N, Masaki A, Yokoyama R, Kawamura K, Kitai Y, Takagi N, Yamaguchi K, Yamaguchi N, Kyo Y, Ishii K, Imai Y, Saijo S, Iwakura Y, Tachi M.
    • 雑誌名

      J Invest Dermatol

      巻: 139(3) ページ: 702-711

    • DOI

      10.1016/j.jid.2018.10.015.

    • 査読あり
  • [学会発表] Dectin-2-mediated signaling leads to delayed skin wound healing through enhanced neutrophilic inflammatory response and NETosis.2018

    • 著者名/発表者名
      Emi KANNO, Hiromasa TANNO, Ayako SASAKI, Keiko Ishii, Shinobu SAIJO, Yoichiro IWAKURA, Kazuyoshi KAWAKAMI
    • 学会等名
      第47回日本免疫学会学術集会
  • [学会発表] 皮膚創傷治癒におけるDectin-1、2シグナル活性化の影響の違い2018

    • 著者名/発表者名
      山口賢次,川上和義,菅野恵美,丹野寛大,佐々木綾子,三浦考行,高木尚之, 館正弘
    • 学会等名
      第48回日本創傷治癒学会

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公開日: 2019-12-27  

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