研究課題/領域番号 |
18K09487
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
前川 二郎 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70244449)
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研究分担者 |
矢吹 雄一郎 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (30610357)
三上 太郎 横浜市立大学, 医学研究科, 客員准教授 (90315804)
小林 眞司 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (90464536)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / 血管内治療 / ガイドワイヤ / リンパ管静脈吻合 |
研究実績の概要 |
2018年度は3頭のブタにおいて、1、リンパ管ワイヤーの安全性と有効性に関する評価 と2、リンパ管内治療(Endo-Lymphatics Treatment, ELT)の開発 を行った。ブタの後肢において皮下集合リンパ管を同定 、皮膚を切開しリンパ管ワイヤーを挿入した。リンパ管弁機能不全の有無を評価するためにカニュレーションした皮下集合リンパ管を近位側で同定し、逆行性に水溶性造影剤でリンパ管造影した。造影剤はリンパ管を逆流せず、弁機能は保たれていた。また、カニュレーションした リンパ管を採取し組織学的に解析したが、内皮、弁共に明らかな異常所見はなかった。 ELTとしてリンパ管狭窄モデルの作製を行った。ブタ後肢の遠位において皮下集合リンパ管を同定し、リンパ管ワイヤーを 挿入、大腿部近位において再度同じリンパ管を同定、顕微鏡下に11-0ナイロ ン縫合糸でリンパ管を緩く結紮し、狭窄モデルを作製した。次に、術後経過1か月の時点でリンパ管の再評価を行い、作製に際して緩く結紮したナイロン糸を抜糸し、前回マーキンクグしておいたリンパ管へ再度リンパ管ワイヤーを挿入したが、狭窄部を通過できなかった。 ELTの一環として、2019年度は2頭のブタを用いてリンパ管静脈吻合術後の吻合部へのワイヤ挿入による開存確認の検証を行った。吻合術の一ヶ月後に再度吻合部位を確認し、遠位からリンパ管ワイヤを挿入した。吻合部までのワイヤ挿入は可能であったが2頭とも吻合部が閉塞し、吻合部を越えて静脈へのワイヤ挿入はできなかった。また、同時に吻合部より近位リンパ管へワイヤの挿入を試みたが、狭窄を認め挿入不可であった。正常肢においてリンパ管静脈吻合術後に十分な吻合部開存が得られるか不明であるが、ワイヤ挿入により吻合部が閉塞しているか判断が可能であると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブタを使った前臨床研究として実際のヒトで行っている術式での使用効果を確認し、術後の開存確認にも有用である結果を得た。これにより臨床研究へのステップアップに繋がった。
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今後の研究の推進方策 |
得られた結果について、2021年のリンパ浮腫診療に関する国際学会の一つであるInternational Lymphedema Framework (Denmark, Copenhagen)で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に国際学会(American Venous and Lymphatic Society 2019 Phenix, USA)で発表予定であったが参加することができず、2021年のリンパ診療に関する国際学会(International Lymphedema Framework, Denmark Cophenhagen)に参加する予定に変更したため。
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