研究実績の概要 |
Prx1発現細胞特異的にCre recombinaseを発現するPrx1Creマウスと、Cre recombinaseを発現した細胞において赤色蛍光色素Ai14を発現するRosa26-LSL- tdTomatoマウス(Ai14マウス)、I型コラーゲン発現細胞がEGFPを発現するCol1/EGFPマウスを交配することにより、Prx1発現細胞に由来する細胞がtdTomatoを恒久的に発現し、なおかつI型コラーゲン発現細胞がEGFPを発現するPrx1Cre;Ai14;Col1/EGFPマウス(PAGマウス)を作製した。PAGマウスの鼠径脂肪より脂肪由来幹細 胞(tdTomato陽性ADSCs)を抽出・培養し、温度反応性ディッシュを用いて脂肪由来幹細胞シート(tdT-ADSCシート)を作製した。マウスの腱損傷モデルの確立を試みた。試行の結果、Wildマウスのアキレス腱中央に2.5倍ルーペ下に11番メスを用いて1/4~1/3の幅で 横方向に切開を加える方法が、最も安定して術後の 腱創傷治癒過程を観察できることがわかった。 tdT-ADSCシートを腱損傷モデルに移植し、移植後の腱を移植1,4,8週間後に蛍光免疫染色にて観察した。修復された腱の内部にtdTomato陽性GFP陽性の細胞を認め、移植したtdTomato陽性ADSCsが腱の修復過程におけるコラーゲン生成に寄与していることが示された。続いて、EGFPマウスを用いて同様の腱損傷モデルを作成し、tdT-ADSCシートを移植した。すると、GFP陽性細胞全体におけるtdTomato陽性GFP陽性の比率は経時的に減少しており、ADSCシートの移植は、主に受傷後早期のコラーゲン産生に寄与し、長期的な腱の恒常性への寄与は少ないと思われた。
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