研究課題/領域番号 |
18K09496
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
清水 一彦 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90385394)
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研究分担者 |
菊田 幸子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10367089)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 創傷治癒 / podoplanin |
研究実績の概要 |
本研究は炎症の場に現れるポドプラニン(PDPN)陽性細胞の性状を形態学的・分子生物学的に追求し、この細胞が炎症の場で細胞遊走に関わるメカニズムを解明することを目的としている。そこでマウス創傷治癒モデルを考案し、「PDPN陽性細胞が創傷治癒に果たす役割を解明する」事を研究期間内の目的としている。この期間内目的を遂行するに辺り、本年度は、(1) 創傷治癒モデルの再検討、(2)創傷治癒モデルで急激に現れるPDPN陽性細胞の同定、の2点を行った。 まず、(1)に関しては、以前より創傷治癒モデルとして舌創傷治癒モデルを用いた研究を行ってきていた(科研費基盤C JP15K10953)が本研究ではより臨床的にも一般的である皮膚創傷モデルを考案した。皮膚に約7mmの切創と直径2mmの生検パンチを用いた方法を調査した。切創の場合、傷の治りが早くマウスにもダメージが少ない印象であったが、創傷面同士が接するため、お互いに何らかの影響をしあっている可能性があったため、生検パンチを用いた方法を採用した。(2)に関しては、創傷部より凍結切片を作製し、PDPNと種々のマーカーを用いた多重蛍光免疫染色法により調査した。その結果、受傷後1日目にPDPNの発現がピークを迎えていた。また、これらのPDPN陽性細胞は平滑筋アクチンalpha やheat shock protein 47に対する抗体に陽性であった為、筋線維芽細胞の可能性が示唆された。現在、これらの細胞が創傷部で増殖した細胞なのかを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度内の最低限の目標である創傷モデルの作製と創傷部に現れるpodoplanin陽性細胞の同定については順調に進んだが、これらの細胞の由来を特定することが出来なかった。理由としては、研究代表者の自分が年度末で所属が変わる事になり(東京女子医科大学→東邦大学)、移動の準備に時間をとられたからである。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までにPDPN陽性細胞が受傷後1日目に出現のピークを迎えることが分かった。そこで本年度は受傷後1日目を中心として、PDPN陽性細胞の機能解析を行う予定である。具体的には ①多重免疫染色により、PDPN陽性細胞がどの様な機能的因子を発現しているのかを調査する。 ②抗PDPN抗体を受傷後に投与することでPDPNの機能阻害を試み、①で検索した機能的因子がどの様に変化するかを調査する。 ③real time PCR等を用いて②で調査した機能因子の発現を定量化する。 ④PDPN遺伝子組換えマウスの作製準備を行う。 の4項目を遂行することを目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度より所属が変わったため、その移動準備や残務処理に時間をとられてしまい、十分に研究費を遂行する時間が取れなかった。また、前所属での研究室の大幅な改変準備などがありそちらにも時間がとられてしまった。 今年度は、PDPNの機能をより詳細に調査するために、PDPNの遺伝子組換えマウスを作製する準備に前年度分を使用する予定である。
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