研究課題/領域番号 |
18K09498
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
楠本 健司 関西医科大学, 医学部, 教授 (20161630)
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研究分担者 |
覚道 奈津子 関西医科大学, 医学部, 講師 (00509490)
森本 尚樹 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40378641)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 多血小板血漿 / 創傷治癒 / 再生医療 / 脂肪誘導 |
研究実績の概要 |
*研究の目的:多血小板血漿(PRP)投与する動物創傷治癒実験で、創傷治癒の促進とともに炎症と脂肪組織を誘導する脂肪誘導の所見を得た。これまで、皮膚軟部組織へのPRP投与で脂肪組織再生の報告はない。再建すべき皮膚軟部組織で脂肪組織を誘導できることは、慢性創傷、遊離植皮、瘢痕・ケロイド、加齢現象、変性皮膚などの体表の再生や再建に極めて有用である。今回、標準的PRPを調整することを開始し、それを応用してPRPを規格化した皮膚軟部組織欠損と遊離植皮の2つの再建モデルを設定し、PRPを投与することで脂肪組織の誘導が行えることの実証とその機序を明らかにするための実験研究を立案した。 *研究の実施:最初にPRPの調整の検討として、マウスから脱血して、1尾から10ccの全血を貯血した。これをPRP調整の代表的な方法であるdouble spin法により高濃度血小板を含むPRPを調整を進め、血小板数を計測を行った。double spin法での初回の低回転遠心分離と2回目の高回転遠心分離の設定を回転数を暫時変更しながら最適条件設定を進めた。一方、同時にマウスの全血を採血して調整したトロンビンとCaCl2付加してPRPの活性化を行った。ここで得た活性化PRPを、ELIZA法により創傷治癒に代表的な細胞増殖因子であるPDGF、TGF-β、bFGFの計測を行った。これによって本研究において使用する標準的PRPを設定に至った。 初年度は、遊離植皮モデルの作成には至らず、これの予備実験にまで進んだところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多血小板血漿(PRP)の調整が正確に目的通りに行えることが本研究の本幹であり、多様な様式を含めて検討を進めている。 PRPは元来多種の細胞成長因子の合体であり、より均一化したPRPを得るために、この調整過程で繰り返しの実験を行う必要があった。次の段階である遊離移植の調整にまで至らず、やや遅れた状態である。ただ、この過程により、より均一化したPRPを得ることを経験していることから、今後の作業の正確性は増すことと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
標準的PRPの調整に習熟する必要があり、引き続きの調整を続ける予定である。次年度には、多様なPRPの浸透などを含めた均一な投与法、到達法も織り交ぜて検討することを含んでいる。このことは、PRPを臨床応用に応用しやすい基盤を得ることにつながることから、次段階の成果が期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
多血小板血漿(PRP)をマウスでの調整を多様に行うことが、本研究の主眼でもあり、これに多様な条件での検討を進めた。そのため、研究の後半部分の遊離植皮による検討は、パイロットスタディに留まっている。このため、ここに掛かる経費が残り、繰り越しとなっている。引き続きの年度代わりで、次に進む予定であり、これらの経費分が必要でもある。
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