R2TP複合体について得られた成果は大きく3種類に分けられる。ひとつは口腔扁平がんを用いた研究について、歯科医学会より依頼を受け、まとめて総説として発表したことである。これまでの哺乳類細胞についてのR2TP複合体の機能解析はHeLa細胞やU2OS細胞、乳癌細胞株を用いて行ってきたが、口腔扁平上皮細胞および口腔扁平上皮がん組織検体を用いた研究について初めて成果を発表した。 また、もうひとつはこれまで知られていなかったR2TP複合体(正確にはその構成因子のPontin/Reptin)の標的タンパク質HEATR1を見出し、発表したことである。HEATR1はPontinやReptinに直接結合し、これらをタンパク質として安定化させ、口腔扁平上皮がん細胞を増悪させることを発表した。 最後に、Pontinががん抑制遺伝子のp53と結合し、その機能に関わることも見出し、論文として発表した。
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