研究課題/領域番号 |
18K09506
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
久木田 敏夫 九州大学, 歯学研究院, 教授 (70150464)
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研究分担者 |
久木田 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30153266)
久本 由香里 九州大学, 歯学研究院, 助教 (40729026)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 血管内皮細胞 / 骨改造開始点・場の制御 / 免疫シナプス様構造 |
研究実績の概要 |
骨の新陳代謝である骨改造により骨の恒常性が保たれる。活発に骨改造が行われている部位には多くの破骨細胞が出現しており、骨改造開始部位を提供している。長管骨では造骨性の血管が存在する骨幹端に破骨細胞が多数存在し、造血性の血管が存在する骨幹では破骨細胞が少ない。特定の状態にある骨芽細胞の膜表面分子群が破骨細胞形成の「場」を提供するものと思われるが、その詳細は不明である。「場」を構成する分子を検索したところ、骨芽細胞が膜表面に特異的に発現し、破骨細胞形成を正・負に制御する膜分子(制御性膜分子)を見出した。本研究では両分子について分子解析を行い、これらの膜分子を標的とする骨改造制御を行なう。各々の分子を発現する骨芽細胞を純化し、骨改造制御能の解析と遺伝子発現解析を行ない「場」の分子基盤を得る。本研究により破骨細胞形成誘導の「場」が解明され、新原理による骨再生が可能になる。現在のところ不明の点が多い骨改造の開始点である破骨細胞出現の「場」についてその実態を明らかにする為に、本研究では上記の制御性膜分子のプロテオミクス解析を実施している。骨芽細胞株ROS17/2.8細胞をクローン化したもの(ROS17/2.8細胞クローン#7)を培養し、細胞表面蛋白質をビオチン化し、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含むRIPAバッファーにより可溶化し、このcell lysateの一部を免疫沈降後、ウェスタンブロッティング法により膜表面ビオチン化蛋白質を検出することにより分子量を確定した。残りのcell lysateについては、免疫沈降後、TFAにより溶出した蛋白質について、質量分析による解析を行なっている。更に抗制御分子モノクローナル抗体(IgG1)による架橋実験を培養骨芽細胞を用いて行うことにより、骨改造における制御性膜分子の機能とシグナル伝達について解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に研究が進展しているが、骨芽細胞サブポピュレーションの純化にあたって困難が予想されるので、その際は、免疫学的手法に留まらず、血液学的な手法やその他の手法も積極的に取り入れて実施する予定にしている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の推進の為に申請書に記載した計画に沿った詳細な実験計画を建て、実施する。1)複数の制御性膜分子についてプロテオミクス解析による同定を行う。2)ラット頭蓋冠より調製した骨芽細胞について免疫学的手法を用いたサブポピュレーション単離を行い、骨再生能の検証を行う。3)単離した骨芽細胞サブポピュレーションについてRNA-seqを用いた遺伝子発現解析を行う。本研究により骨改造開始点における調節機能が解明されるものと思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に質量分析やRNAseq等の解析に費用がかかることが予測された為、研究経費が比較的低額の実験を実施した。使用計画は次の通り。1)質量分析解析 2)大量培養 3)分子生物学的解析 (RNAseqを含む)。
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