研究課題
基盤研究(C)
本研究では、レプチンが甘味受容細胞の応答性を抑制するメカニズムを解析し、①甘味受容体を発現する細胞に、レプチンの細胞内情報伝達に関わる分子(STAT3、SHP2、PI3K)が発現すること、②中でもPI3Kがレプチンの甘味抑制効果に重要な働きをしていること、③レプチンによるPI3K活性化により甘味受容細胞でイノシトール三リン酸の産生や、Aktのリン酸化が生じることを明らかとした。
口腔生理学
本研究で明らかとなった甘味抑制に関わる味細胞におけるレプチンシグナル経路は、肥満時に見られるレプチン抵抗性にも関与する可能性がある。この経路の破綻は、摂食行動やグルコース恒常性の変調を齎し、肥満の進行に関わると考えられる。このシグナル経路を標的とした薬剤は、レプチン抵抗性を示すヒトに適切な摂食行動やグルコース恒常性を維持するよう機能し、肥満や肥満により生じる様々な病態の抑制につながる可能性がある。