研究課題/領域番号 |
18K09508
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
千葉 紀香 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00468050)
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研究分担者 |
松口 徹也 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (10303629)
大西 智和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (30244247)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | DUSP16 / マスト細胞 / アレルギー |
研究実績の概要 |
本年度の研究では、C57BL/6(WT)とDUPS16 KO(KO)のマウスを用いて、マウスアレルギーモデルの作製、また、マスト細胞株などを用いて、マスト細胞への各種刺激におけるDUPS16遺伝子発現量とタンパク質量の変化について解析を行った。 まず、HDM(ハウスダストマイト)による感作マウスモデルの作製を開始した。HDMの経気道感作によるアレルギーモデル作製について各種プロトコールを試しているが、当講座におけるモデル確立に時間がかかりそうであったので、卵白アルブミン(OVA)を抗原としAlumアジュバントとの混合物を使用したアレルギーモデルを同時進行で使用することとした。また、マスト細胞内シグナル伝達におけるDUSP16の役割については、マウスマスト細胞の細胞株であるMC/9、またマウス骨髄から得られたBMMCs(Bone marrow-derived mast cells)を用いて解析を行っている。MC/9をIgEクロスリンク刺激またはLPSで刺激するとDUSP16の遺伝子発現が誘導されたが、その発現レベルには有意な差がみられた。このことはマスト細胞内でDUSP16が関わるシグナル伝達に特異性があることを示唆している。興味深いことに、WT由来BMMCsとKO由来BMMCsでは分化培地による長期培養において、その増殖に違いがみられた。このことはDUSP16がマスト細胞の増殖ないしは分化において重要な役割を果たしている可能性を示唆していると思われる。 以上のことから、DUSP16の役割が明らかにされれば、マスト細胞が関わる反応や疾患に対して、より根本的な治療に利用出来る可能性を示唆していると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のとおり、アレルギーマウスモデルの確立を複数の方法を用いて試みてはいるところではあるが、BALF(肺胞洗浄液)の数についてWTとKOの間の差に一定の傾向がある。マウスにおいてアレルギーモデルが確立されれば、その差を明確にし、DUSP16の役割の詳細について評価することが出来るだろうと考えている。また、マスト細胞のシグナル伝達におけるDUSP16の役割については、シグナル伝達経路に特異性があることは予想しており、またその特異性について解析を進めるうえで必要な手技や材料は揃っており、次年度はさらに深いところの知見を得ることが可能であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
アレルギーマウスモデルに関しては前でも述べたが、HDMによる感作モデルと並行して、強力で感作成立が比較的容易とされるOVA/Alumによる感作モデルを実施していく。また、in vitroに関しては、すでに所有しているMC/9細胞株に加え、理研Cellバンクから購入済みのP815細胞株、さらに細胞株で確認された現象をBMMCsにてさらなる検証を行う予定である。マスト細胞欠損マウスは外部からの譲渡を受ける予定であるが、双方の準備が整い次第こちらを進めていく。
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