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2018 年度 実施状況報告書

新規シグナル分子8-ニトロ-cGMPの骨リモデリングとその破綻における機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K09513
研究機関昭和大学

研究代表者

宮本 洋一  昭和大学, 歯学部, 准教授 (20295132)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード骨リモデリング / 破骨細胞 / 骨細胞 / 一酸化窒素 / 活性酸素種
研究実績の概要

骨は、破骨細胞による吸収と骨芽細胞による形成からなるリモデリングを繰り返すことによって、形態と強度を維持している。また、骨細胞が骨吸収と骨形成を制御する細胞であると認識されるようになってきた。骨吸収と骨形成のバランスが崩れると、骨量の減少あるいは増加が起こる。前者の代表的な例として骨粗鬆症、後者のそれとして大理石骨病などがあげられる。一酸化窒素(NO)や活性酸素種(ROS)が骨吸収と骨形成を制御するとういう報告は多い。我々は、一酸化窒素(NO)と活性酸素種(ROS)の共通した下流シグナル分子として同定された、8-ニトロ-cGMPによる骨吸収と骨形成の制御について解析することにした。
本年度はまず、破骨細胞分化過程における8-nitro-cGMPの生成および破骨細胞分化に対する8-nitro-cGMPの影響について検討した。破骨細胞分化はNO、ROSおよび活性窒素種によって分化が促進されるという報告が多い。今回の解析では、破骨細胞前駆細胞であるマウス骨髄マクロファージおよび破骨細胞で8-nitro-cGMPの生成が確認され、炎症性サイトカインはその生成を促進した。また、外来性の8-nitro-cGMPは骨髄マクロファージからRANKL依存的な破骨細胞への分化を促進した。一方、ニトロ下されていないcGMPにはそのような活性は認められなかった。
続いて、骨細胞様細胞株Ocy454細胞における8-nitro-cGMPの生成を解析した。炎症性サイトカインによる8-nitro-cGMP生成の亢進は認められなかったが、副甲状腺ホルモンおよびプロスタグランジンE2によって8-nitro-cGMPの生成が促進することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

破骨細胞および骨細胞で8-nitro-cGMPの生成を確認できた。8-nitro-cGMPは破骨細胞分化を促進することを見出した。破骨細胞前駆細胞および破骨細胞で、炎症性サイトカインが8-nitro-cGMPの生成を促進したことから、炎症性の骨破壊の一部を8-nitro-cGMPで説明できる可能性が示唆された。また、骨細胞での8-nitro-cGMPの生成が確認できたことから、研究の発展が期待される。

今後の研究の推進方策

主に、骨形成を担う骨芽細胞における8-nitro-cGMPの生成と機能を解析する予定である。

次年度使用額が生じた理由

8-nitro-cGMPの消去系の主要な酵素であるcysteine persulfide synthetase遺伝子欠損マウスの使用が平成31年度から可能になることから、そのマウス由来の骨構成細胞を用いた実験を行うための費用を繰越す。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Production of 8-nitro-cGMP in osteocytic cells and its upregulation by parathyroid hormone and prostaglandin E2.2019

    • 著者名/発表者名
      Nagayama K, Miyamoto Y, Kaneko K, Yoshimura K, Sasa K, Akaike T, Fujii S, Izumida E, Uyama R, Chikazu D, Maki K, Kamijo R
    • 雑誌名

      In Vitro Cellular & Developmental Biology - Animal

      巻: 55 ページ: 45-51

    • DOI

      10.1007/s11626-018-0304-0.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 8-Nitro-cGMP is a promoter of osteoclast differentiation induced by RANKL.2018

    • 著者名/発表者名
      Kaneko K, Miyamoto Y, Tsukuura R, Sasa K, Akaike T, Fujii S, Yoshimura K, Nagayama K, Hoshino M, Inoue K, Maki K, Baba K, Chikazu D, Kamijo R
    • 雑誌名

      Nitric Oxide

      巻: 72 ページ: 46-51

    • DOI

      10.1016/j.niox.2017.11.006

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 骨粗鬆症の酸化ストレス病態.2018

    • 著者名/発表者名
      宮本 洋一,金子 児太郎,上條 竜太郎
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 36 ページ: 837-842

    • 査読あり
  • [学会発表] レドックス・シグナルによる骨リモデリングの調節 - 8-Nitro-cGMPによる破骨細胞分化促進と骨芽細胞分化抑制 -.2018

    • 著者名/発表者名
      金子児太郎、宮本洋一、杉崎リサ、宇山理紗、赤池孝章、小川隆、近津大地、上條竜太郎
    • 学会等名
      第33回日本酸化ストレス学会関東支部会
    • 招待講演
  • [学会発表] 新規シグナル分子8-ニトロ-cGMPは骨の成長を促進した.2018

    • 著者名/発表者名
      片岡真理江、宮本洋一、金子児太郎、赤池孝章、近津大地、馬場一美、上條竜太郎
    • 学会等名
      第33回日本酸化ストレス学会関東支部会
  • [学会発表] 活性イオウ分子種は破骨細胞分化を促進する.2018

    • 著者名/発表者名
      杉崎リサ、宮本洋一、笹清人、吉村健太郎、山田篤、宇山理紗、須澤徹夫、近津大地、赤池孝章、上條竜太郎
    • 学会等名
      第33回日本酸化ストレス学会関東支部会
  • [学会発表] 骨細胞様細胞における8-nitro-cGMPの生成と機能.2018

    • 著者名/発表者名
      長山和弘、宮本洋一、吉村健太郎、赤池孝章、藤井重元、上條竜太郎
    • 学会等名
      第77回日本矯正歯科学会学術大会
  • [備考] 昭和大学h歯学部口腔生化学講座

    • URL

      http://www10.showa-u.ac.jp/~oralbio/

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公開日: 2019-12-27  

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