研究課題/領域番号 |
18K09517
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笹野 泰之 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30196191)
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研究分担者 |
鈴木 治 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60374948)
矢尾 育子 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 准教授 (60399681)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MMP-2欠損マウス / 骨 / 石灰化 / マイクロX線CT / エネルギー分散型X線分析 / 基質タンパク |
研究実績の概要 |
骨と象牙質の石灰化に際しMMP-2で分解される「石灰化制御基質タンパク」を探索することを本研究の目的とする。平成30年度にMMP-2欠損マウス(GelA KO)を理研バイオリソース研究センター(理研BRC)から導入し、繁殖を開始した。令和元年度では、下記のように、生後7週齢を中心に、2週齢、12週齢および24週齢のMMP-2欠損(-/-)および野生型(+/+)のマウスを全身麻酔下に4%パラホルムアルデヒドまたは4%パラホルムアルデヒド-1%グルタールアルデヒドで灌流固定した。 2週齢 雄 -/- 3個体 +/+ 2個体; 雌 -/- 1個体 +/+ 0個体, 7 週齢 雄 -/- 11個体 +/+ 10個体; 雌 -/- 9個体 +/+ 4個体, 15週齢 雄-/- 1個体 +/+ 1個体; 雌 -/- 1個体 +/+ 1個体, 24週齢 雌-/- 3個体 +/+ 1個体
令和2年度は、固定した下肢骨(大腿骨および脛骨)の試料について、マイクロX線CTと分析走査電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分析(SEM-EDX)による元素分析で検討した。一部の試料は10%EDTAで脱灰し、パラフィン包埋試料とし、パラフィン切片はヘマトキシリンーエオジンで染色した。下肢におけるマイクロX線CT解析の結果、MMP-2欠損マウスの下肢骨の骨密度は野生型に比較して低く、また、SEM-EDXの結果から、緻密骨における骨基質のカルシウム濃度が低いことが示された。脱灰試料の組織学的な検討では、MMP-2欠損マウスでは、長管骨における成長板軟骨が厚く、一方で成長板の軟骨細胞の密度が低い傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大に伴い研究活動が制限され、当初の計画通りに研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度では、下肢骨の試料について、マイクロX線CT、エネルギー分散型X線分析(SEM-EDX)、X線回折(XRD)、赤外分光法(FT-IR)等を用いて、皮質骨・海綿骨のミネラル結晶の密度、組成、結晶構造等を解析し、石灰化の表現型をMMP-2欠損マウスと野生型マウスとの間で比較検討する。
さらに、ミネラル結晶を解析した下肢を10%EDTAで脱灰して凍結試料とし、質量顕微鏡解析用切片を作製する。質量顕微鏡で可視化したプロテオームを皮質骨と海綿骨に関して抽出し、MMP-2デグラドームを解析する。また、脱灰試料をパラフィンに包埋して、アルシアン・ブルーや免疫染色を用いて、プロテオグリカンを中心として細胞外マトリックスの特徴を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)新型コロナウイルス感染症のため研究活動が制限され、また、予定していた研究打ち合わせ等の出張が中止となり、旅費を支出しなかったため。 (使用計画)令和3年度の研究費の主な使用計画を以下に記載する。なお、令和2年度の未使用額を令和3年度の研究遂行に使用する。(プラスチック・ガラス器具)質量顕微鏡用およびミネラル解析用の試料作製用として必要となる。 (固定剤、試料包埋剤等)化学固定剤、試料凍結用の包埋剤等が必要となる。(質量顕微鏡用スライドガラス)導電性を持たせ酸化インジウムスズがコーティングしてあるスライドガラス(50千円/20枚)が約200枚必要である。(SEM-EDX、XRD、FT-IR用消耗品)スライドガラス、試薬等が必要となる。(国内旅費・外国旅費)共同研究として浜松医科大学メディカルフォトニクス研究センターで質量顕微鏡解析を実施するため、研究打ち合せ旅費が必要となる。(その他)質量顕微鏡の利用料金(40千円/日)として、令和3年度は年間6日間を見込む。
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