1.大腿骨の組織切片を経時的に作成して細胞老化の形態学的解析を行った。5週齢・6ヶ月齢・1年齢・2年齢それぞれのSost-ZsGreenレポータマウスの大腿骨凍結切片の蛍光観察の結果、6ヶ月齢から1年齢の皮質骨で強く発現していた緑色蛍光強度が、2年齢では顕著に低下していた。さらにこのレポータマウスを掛け合わせて作出したSost遺伝子欠損マウスの2年齢の骨では海綿骨も皮質骨も骨梁が増えるのみならず、成長期の元々の皮質骨に新たに添加された骨でヘキスト染色陰性の細胞核を欠いた空の骨小腔が多数存在していた。骨細胞の加齢においてスクレロスチンが生存因子として関与していることが示唆された。 2.Sost-ZsGreenレポータマウスの2年齢の老齢マウスおよび6ヶ月齢の若年マウスから、それぞれの頭蓋冠を摘出して、アウトグロースする骨系細胞を単離した。さらに継代培養してから、コラーゲンゲルを用いて三次元培養を行った。その結果、培養3週間後での細胞形態は樹状様突起を示していたものの緑色蛍光は誘導されていなかった。また、老齢マウス由来の細胞は殆ど突起を伸ばしていなかったことから、機能不全が予想された。
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