研究課題/領域番号 |
18K09532
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
立川 敬子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (70236537)
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研究分担者 |
中浜 健一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60281515)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | CX3CL1 / 破骨細胞前駆細胞 / 破骨細胞前駆細胞 / 骨芽細胞 |
研究実績の概要 |
ケモカインの1つであるCX3CL1 は多くの炎症やがんの転移に関わっていることが報告されている。これまでの研究で、申請者らはIL-1 存在下でCX3CL1-CX3CR1 依存的に破骨細胞前駆細胞(OCP)が骨芽細胞下に遊走することを報告し、さらにこの際の骨芽細胞-破骨細胞前駆細胞接触によるシグナルについて研究を行なってきた。 本研究ではOCPが骨表面に達し成熟破骨細胞に分化する過程に着目し、OCPが骨芽細胞表面から骨基質へと遊走する経路において骨芽細胞やOCPにどのような変化が起こるのかというメカニズムの解明を目的としている。細胞内セカンドメッセンジャーの代表である細胞内カルシウムイオン濃度([Ca2+]i)としてRhod-3AMをもちい、cAMP濃度([cAMP]i)の測定はcAMPが結合することによりアロステリックにルシフェラーゼ活性が上昇するタンパク質(GloSensor)を全身に発現するGloSensorマウス(我々の研究室にて樹立)由来細胞を用いた。これにより、未処理またはIL-1beta処理後24時間目の骨芽細胞と破骨細胞前駆細胞との培養開始により、破骨細胞前駆細胞側の[cAMP]i上昇が未処理群と比べて約2倍であることがわかった。さらに、IL-1beta処理後24時間目の骨芽細胞は破骨細胞前駆細胞との接触により[Ca2+]iが一時的に増加する結果が得られた。 昨年度は、骨芽細胞-破骨細胞前駆細胞間の相互作用を阻害する可能性のある阻害剤をスクリーニングする目的でHeLa細胞にRANKLとM-CSFを発現させ、マクロファージ系細胞株であるRAW細胞と共培養することにより破骨細胞分化を誘導する系を確立した。現在、炎症性骨疾患の予防法および治療法を提案するために、当大学が保有する化合物ライブラリーをスクリーニング中であるが、まだ可能性を秘めた化合物の選定には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まだ本研究課題の全容を明らかにはできていないが、骨芽細胞と破骨細胞前駆細胞の接触により細胞内セカンドメッセンジャーの量的変化を捉えることができたことは、今後の研究の展開に有意義であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に得られた結果についてさらに追試を行い、骨芽細胞-破骨細胞前駆細胞の細胞間の情報連絡について明らかにし、相互作用を阻害する可能性のある物質をスクリーニングすることにより、炎症性骨疾患の予防法および治療法を提案していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行計画に遅れが出ているため.
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