研究課題/領域番号 |
18K09535
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
村上 圭史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (10335804)
|
研究分担者 |
天羽 崇 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 特任助教 (00803545) [辞退]
藤猪 英樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (50356250)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 緑膿菌 / 2成分制御系 / バイオフィルム |
研究実績の概要 |
バイオフィルム感染症が慢性化,難治化する原因の1つとして抗菌薬抵抗性が重要であることは知られているものの,そのメカニズムは不明な点が多い。我々はこれまでに,典型的なバイオフィルム形成細菌である緑膿菌について,抗菌薬抵抗性に関与する因子として,RNAポリメラーゼσ因子,セカンドメッセンジャーであるc-di-GMP,菌体外多糖合成に関わるpsl遺伝子,2成分制御系などが重要な役割を担っていることを報告してきた。本研究では,cbrA-B, phoB-Rを中心とした2成分制御系に着目し,シグナル伝達経路を明らかにすることにより,抗菌薬抵抗性メカニズムの解明し,慢性難治性感染症であるバイオフィルム感染症に対する,新たな治療薬のターゲットを見出すことを目標としている。 1) 抗CbrB, 抗PhoBポリクロナール抗体の作製:His-Tag融合タンパク質用のベクターへのcbrB, phoB遺伝子のクローニングに成功し,大腸菌での大量発現,タンパク質の精製を実施中である。 2) cpx遺伝子の抗菌薬抵抗性への関与について:cpx遺伝子は大腸菌においては,envelope stressやsurface sensingなどストレス応答に関与する2成分制御系として知られているものの,緑膿菌においては,その役割について,まだほとんど報告がない。そこで,cpxA,P,Rそれぞれの遺伝子のin frame欠損株を作製し,浮遊菌およびバイオフィルム形成菌におけるオフロキサシンに対する抵抗性について、cpx遺伝子の影響について検討を行った。その結果,浮遊菌の抗菌薬抵抗性にはcpxオペロンは関与しないものの、バイオフィルム形成菌では2成分制御系のセンサーで有るCpxA、レギュレーターであるCpxRがそれぞれ関与している事が明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1) 抗CbrB, 抗PhoBポリクロナール抗体の作製 His-Tagを付与したCbrBおよび,PhoBタンパク質の,大腸菌での大量発現とNiカラムを利用したタンパク質の精製には成功したものの,いずれのタンパク質も吸着性や凝集性が高いためか,タンパク質の濃縮が困難であったため,ウサギへの免疫に必要なタンパク濃度が確保出来ず,抗体作成には至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
CbrB. PhoBタンパク質の精製を再度実施し,抗CbrBや抗PhoB抗体の作製を実施する。タンパク質の濃縮が困難である場合は、アクリルアミドゲルからそれぞれのタンパク質を切り出し、直接抗原として、ウサギに免疫する方法についても検討する。抗Cbr抗体や抗PhoB交代が作製出来れば,Chip-seq解析を実施し,制御遺伝子を探索する。また、cpxオペロンについては、他の抗菌薬に対する抵抗性についても検討を行う。また、cpx以外の2成分制御系についても検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)ウサギを使用した抗体作成や、抗体を使用したChip-seq解析を実施する予定であったが、抗原となるタンパク質の精製、濃縮が困難であったため実施できなかったため。 (使用計画)繰越額と合わせた次年度の直接経費は,抗体作成のやChip-seq解析のために使用する。またリアルタイムPCR等の遺伝子発現の解析,分子生物学実験用試薬類の消耗品等を購入する。また,研究成果発表のための学会等への出張旅費等に使用する予定である。
|