研究課題
ヒト口腔扁平上皮癌(OSCC)細胞株HSC3 (転移性が高い)およびHSC4 (転移性が低い) におけるHOXA11-antisinse (HOXA11-AS)とNAD(P)H: quinone oxidoreductase (NQO) の発現を調べた。HSC4 細胞と比較してHSC3ではHOXA11-ASおよびNQO1の発現が高いが、NQO2 の発現が低いことが観察された。siRNAを使用してHSC3 細胞で HOXA11-ASをknockdownすると、NQO1発現はsiControl (siC) 細胞の25%に減少したが、NQO2発現は2.5倍増加した。HOXA11-ASがNQO1をupregulationする能力がmicroRNA spongeとしての役割によるものではないかと推測し、HSC3 細胞におけるHOXA11-ASのknockdownがこれまでにNQO1をupregulationすると報告されている9種類のmiRNAの発現に及ぼす影響を調べた。その結果、HOXA11-AS knockdownによってmiR-494 発現のみが増強されることが示された。HSC3 細胞でmiR-494をknockdownするとNQO1 発現は増加したが、NQO2 発現は変化しなかった。NQO1 活性に対するmiR-494 の効果を調べたところ、miR-494 mimicが NQO1 活性を低下させるのに対し、miR-494 inhibitorはその活性を増加させた。さらに、NQO1 活性はHOXA11-AS knockdown単独では低下したが、HOXA11-AS knockdownをmiR-494 inhibitorと組み合わせると増強された。次に、HOXA11-ASによるNQO2発現の抑制はEZH2を介したepigenetic mechanismによる可能性があると考え、HSC3細胞におけるEZH2 knockdownの効果を調べた。EZH2 knockdownはNQO2 発現を促進したが、NQO1発現は変化しなかった。さらに、EZH2 およびtrimethyl化H3K27のNQO2 promotor DNAへの結合はHOXA11-AS knockdownによって減少した 。以上より、miR-494のHOXA11-AS spongingがNQO1発現をupregulationするのに対し、NQO2発現はHOXA11-ASによるNQO2 gene promotorのEZH2 阻害とH3K27 trimethylationによって抑制されることが示された。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Int J Mol Sci
巻: 23 ページ: 10704
10.3390/ijms231810704