研究課題/領域番号 |
18K09543
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
川口 浩司 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (50277951)
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研究分担者 |
藤原 久子 鶴見大学短期大学部, 歯科衛生科, 准教授 (80396746)
熊谷 賢一 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10518129)
濱田 良樹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70247336)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 唾液 / 菌叢解析 / 腸内細菌叢 / 腸管免疫応答 |
研究実績の概要 |
まず昨年度作出した大唾液腺摘出マウス(C57BL/6マウスオス、8週令)の、術後1か月目ならびに6か月目のHE染色ならびにVEGFとEGFの免疫組織学的解析を行った。その結果、唾液腺摘出群のHE染色では、①舌乳頭の萎縮、②空腸絨毛長・回腸絨毛長・大腸絨毛長の有意な短縮が認められた。 また免疫組織学的解析においては、空腸は、術後1か月目では両群ともに抗EGF抗体陰性・抗VEGF抗体陽性であったが、唾液腺摘出6か月目では、シャムオペ群では抗EGF抗体陰性のままであったのに対して、唾液腺摘出群では抗EGF抗体陽性となった。回腸は、術後1か月目では両群ともに抗EGF抗体ならびに抗VEGF抗体に対して陽性であったが、術後6か月目では、両群とも抗EGF抗体が陰性化したのに対して、抗VEGF抗体は陽性のままであった。また大腸は、術後1か月目では両群ともに抗EGF抗体は陰性であったが、唾液腺摘出群では抗VEGF抗体が陽性であった。術後6か月目において、両群ともに、抗EGF抗体ならびに抗VEGF抗体に対して軽度陽性であり、両群間で明らかな差は認められなかった。 更に術後6か月目の糞便の菌叢解析の結果、唾液腺摘出群では細菌叢が複雑化し、Actinobacteria門 Coriobacteriia網, Firmicutes門Baccili網, Firmicutes門Clostridia網の減少、Bacteroidetes門Bacteroidia網, Firmicutes門Erysipelotrichi網, Proteobacteria門Deltaproteobacteria網の増加が認められた。乳酸産生菌・酪酸産生菌などのいわゆる善玉菌に該当する菌が減少し、リウマチやII型糖尿病、心臓血管障害との関連が報告されている菌が増加していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
術後1か月目ならびに6か月目の2グループのマウスの解析が順調に進んでおり、統計学的解析を行うには十分な数の解析が終わっている。次年度は、術後3か月目と12か月目の解析を中心に行う予定にしている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の実質的な研究開始が遅くなったのは残念であったが、待機期間中に、パイロット実験のサンプルを用いて、①糞便からのRNA採取の手法の確立、②免疫組織学的解析用の抗体の選定、③ならびに免疫染色方法の条件設定の3つを確立することが出来たので、2年目は非常に順調に実験を進めることが出来た。今年度は術後3か月目と12か月目の解析を中心に行う予定にしているが、解析方法は確立されているので、粛々と進める予定にしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が約80万円弱生じたが、これは術後1か月目と6か月目のマウスの糞便の菌叢解析分である。菌叢解析については外部業者へ委託する予定であるが、数が増える方が1サンプル当たりの金額を抑えられるため、術後3か月目ならびに12か月目の解析と同時に依頼する予定である。
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