研究実績の概要 |
舌由来の扁平上皮癌細胞株HSC-3細胞と、HSC-3細胞から樹立された高転移能亜株HSC-3-M3細胞(Oral Oncol. 1998, 34(4):235-6)を、Japanese Collection of Research Bioresources(JCRB)細胞バンクから入手した。これらの細胞からDNAを抽出してshort tandem repeat(STR)を比較解析し、2つの細胞が同一人物由来であることを確認した。
次にHSC-3細胞とHSC-3-M3細胞から抽出したtotal RNAを用いて、SurePrint G3 Human Gene Expression 8x60k v3 Microarray(Agilent)によって遺伝子発現を網羅解析した。その結果、HSC-3細胞とHSC-3-M3細胞では1182個の発現変動RNAが見出された。一方でSurePrint G3 Human miRNA Microarray 8x60K(Agilent)によってmicroRNAの発現も解析したが、発現変動microRNAはわずか数個であった。
1182個の発現変動 RNAリストを用いて、Ingenuity Pathway Analysis(IPA)を行ったところ、転移を誘導する遺伝子ネットワークが予想された。さらにHSC-3-M3細胞ではNF-kBが活性化されている可能性が示唆されたため、NFkB Phospho Antibody Microarray(Full Moon Biosystems)を行ったところ、NF-kB経路に関する、いくつかのタンパク質がHSC-3-M3細胞において特異的にリン酸化されていることが明らかとなった。
|