研究課題/領域番号 |
18K09546
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
永尾 潤一 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (30509047)
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研究分担者 |
田中 芳彦 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (00398083)
成田 由香 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50758050)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歯周病 / 歯周病原細菌 / 免疫応答 / Th17細胞 |
研究実績の概要 |
歯周病は口腔内に常在する歯周病原細菌による感染症で、歯周組織の炎症と歯槽骨の吸収により歯の喪失の最も大きな原因となる。近年、歯周病が糖尿病などの全身疾患と関連することが明らかになり、社会的関心が高くなっている。歯周病の病態形成にはTh17細胞による宿主の免疫応答が関与することが知られているが、生体内のどこで免疫応答が誘導されるのか、どうのようにして制御されるのか、など不明な点が多く残されている。既存の歯科領域の概念として、歯周病病態に関与するTh17細胞の分化をはじめとする免疫応答は口腔局所に限局して考えられてきた。本年度は、歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalisに対する免疫応答の誘導組織として腸管粘膜免疫系に着目し、歯周病形成の実行組織である口腔との関連性を解析した。その結果、P. gingivalisに対するTh17細胞による免疫応答は腸管を介して全身性に活性化し、P. gingivalisを口腔に感染させると歯周組織におけるTh17細胞の遊走と歯周病病態形成が亢進した。さらに、SPFマウスに対する抗菌スペクトルが異なる抗生物質の投与実験などにより、P. gingivalis に対するTh17細胞応答には、腸管粘膜免疫系を制御する腸内細菌、その中でもある特定の腸内細菌が関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに歯周病の病態形成に関わる免疫応答の制御機構として、口腔と腸管の関連性を明らかにすることができている。現在、すでに導入している各種マウスを用いて、口腔-腸管のネットワークの解明を進めている。また、腸管粘膜免疫系を制御する腸内細菌に着目し、腸内細菌叢解析および腸内細菌の培養分離を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従って、今後の研究を推進していく。特に、口腔-腸管のネットワークに関して解析を進める。その中で、腸内細菌叢や免疫細胞の遊走に着目し、歯周病病態形成との関連を個体レベルおよび細胞レベルで明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画通りに順調に研究が進んでいるものの、研究費の充足率が100%ではなく、次年度に計画している実験に本年度以上の予算を必要とするため、次年度に持ち越すことに決定した。 研究遂行に必要な設備備品は既に導入されている。よって、持ち越した研究費は主に消耗品などの物品費に使用する予定である。本年度の計画研究では、微生物培養、細胞培養、遺伝子実験、生化学実験などの専用試薬や消耗品を要する。また、動物実験に必要なマウス購入のための費用が必要となる。さらに、本研究の更なる発展のためには、最新情報の収集、および研究成果をアピールする必要があるため、学会等に参加する旅費を必要とする。
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