研究課題
本研究課題は、口腔粘膜においてウイルス核酸認識を担う受容体の発現を誘導する様な物質があれば、ウイルス感染に起因する口腔粘膜疾患の予防・治療法として臨床応用できるのではないかという仮説のもと、III型インターフェロン(IFN)の一つであるinterleukin (IL)-29を臨床応用するための基礎研究を行う事を目的とした。当該年度に実施した研究の成果として、Flow cytometry法、in situ hybridization 法を用い、口腔粘膜上皮細胞にIL-29 の受容体であるIL-28Raが発現している事を明らかにした。ヒト口腔粘膜由来のケラチノサイトを用いた実験から、IL-29濃度依存的にSTAT1がリン酸化され、RNAウイルスを認識する受容体も発現上昇する事を明らかにした。一方、IL-29刺激によりinterleukin (IL)-6、IL-8等の炎症性サイトカインおよびI型IFNであるIFN-beta 発現は誘導されなかった。RNAウイルス由来核酸により誘導されるIFN-beta は、IL-29前処理によりその産生が増強された。これら結果から口腔粘膜を介するウイルス性疾患および口腔粘膜におけるウイルス感染に起因した疾患に対する新たな予防・治療法を確立するための基盤構築を目指す。
2: おおむね順調に進展している
作業仮説通り、IL-29前処理により抗ウイルス能が増強されたため。また、口腔粘膜由来ケラチノサイト(初代培養細胞)およびヒト口腔粘膜切片において、IL-29の受容体であるIL-28Ra発現を確認する事ができたため。
今後はウイルス感染実験も行い、IL-29前処理によりウイルスの増殖を抑える事が出来るかを検討する予定である。
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