研究実績の概要 |
進行口腔癌に対する治療は外科的療法が主体となるが、術後の機能・審美障害など抱える問題は多く、新たな治療法の開発が必要とされている。平成24年12月には頭頸部癌においても抗EGFR抗体薬や抗PD-1抗体が臨床に導入され、有効性が認められている。今後も口腔癌に対して新たな分子標的薬の誕生が期待される。我々はこれまでに、「温熱療法とIL-1阻害薬の併用療法の開発」(基盤研究C,平成26~28年度)、「温熱療法とIL-1R阻害薬の臨床応用に向けた併用療法の開発」(基盤研究C, 平成30年~令和3年度)の研究テーマでin vitroにおいてその抗腫瘍効果を報告してきた。今後は安全性が高く、より高い抗腫瘍効果が得られる治療法の開発を目指した。本実験では、サイトカインInterleukin-1(IL-1)阻害薬に温熱療法を加えることにより標的分子の発現誘導と腫瘍抑制に対する相乗効果を期待し、トランスレーショナルリサーチの推進を行っていた。 これまでの成果としては、マウスを用いた実験を行うにあたり、腫瘍移植マウスに対して安定した腫瘍のみ加温できる機器の使用方法と温熱条件を検討し確立した。次にヒト扁平上皮癌細胞のヌードマウスへの移植腫瘍SCC25, OSC-19をヌードマウス(nu/nu Balb/c)へ移植し皮下腫瘍を形成させ、最適な温熱療法の条件、IL-1阻害薬の投与量を検討した。そしてIL-1阻害薬単独と、温熱療法を併用し、抗腫瘍効果を観察した。腫瘍サイズの変化、生存期間の測定を行った。しかしながら、腫瘍サイズの減少効果、生存期間の延長の抗腫瘍効果は有意な結果は得られなかった。
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