研究課題
1. コンベンショナルマウスと比較した場合、無菌マウスの口腔内の自然免疫系の活性化において、抑制されていることを見出した。特に、口腔粘膜下の好中球においては、分化誘導に抑制的傾向が認められたことから、好中球の末梢における分化誘導が阻害されていることが示された。近年、好中球は、末梢において分化される仕組みが存在することが明らかにされており、かつ、末梢においてG-CSFやGM-CSFなどのサイトカインによる分化誘導の仕組みが知られていることから、無菌マウスでは、これらの分化誘導分子の産生誘導が粘膜の常在菌叢からの恒常的な刺激により産生誘導されていることが示唆された。これらの研究成果については、論文投稿を準備している。今後の研究の展開としては、常在菌の種類ごとに分化誘導の程度に違いがあるのか、また、炎症性疾患によりディスバイオーシスが誘導された場合に、サイトカイン産生に変化があるのかについて検討する。2. 腸管細菌叢に対する抗原認識が、口腔内に分泌される唾液中へ放出される分泌IgAのエピトープ形成と関係するのかについても研究を継続している。事前の想定よりも唾液抗体は腸管の抗原認識に依存していた。具体的に、どのような仕組みにより腸管粘膜で成熟した形質細胞が口腔周囲へ移動するのかについて研究を進めている。3. 本課題での中心的なテーマである、腸管と口腔におけるディスバイオーシスの相互作用については、無菌およびヒト細菌叢移植マウスの飼育環境の構築の過程で、安定的な環境の構築に想定以上に時間を要しており、引き続き検討することとしている。
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