• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

自己免疫性唾液腺炎の司令塔:MyD88依存的シグナルによる三次リンパ組織形成機構

研究課題

研究課題/領域番号 18K09561
研究機関朝日大学

研究代表者

引頭 毅  朝日大学, 歯学部, 教授 (10360918)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード自己免疫性唾液腺炎 / 自然免疫 / 三次リンパ組織 / 細胞内シグナル伝達 / MyD88 / TLR9 / 樹状細胞
研究実績の概要

シェーグレン症候群等でみられる自己免疫性唾液腺炎(AS)では、腺組織破壊による唾液分泌低下が認められる。ASの病巣では二次リンパ組織と類似した秩序のあるリンパ組織様構造「三次リンパ組織」が形成される。研究代表者はASの病態が出現するモデルマウスにおいて、自然免疫応答の誘導に関与するシグナル伝達分子MyD88を欠損させたところ、唾液腺組織での三次リンパ組織の形成が起こらないことを見出してきた。本研究課題の目的は,感染防御応答を担うはずのMyD88依存的シグナルが何故、どのようにASの三次リンパ組織形成に関与するのかそのメカニズムを分子生物学的に解明することである。ASモデルマウスとMyD88遺伝子を欠失させたASモデルマウスとを用い、設定した小課題について分子生物学的手法に基づいた種々の対照実験を行い、エビデンスを蓄積して総合的解釈により目的の達成を目指していく。
2019年度はASモデルマウスとMyD88遺伝子欠損ASモデルマウスとの差異について、昨年度に引き続き、唾液腺組織における遺伝子発現ならびに構成細胞変化の見地からみた三次リンパ組織形成機序の解明を目指し研究計画を立てていた。まず、DNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析法により調べたところ、Cxcl9、Pigr、C3、Cxcl13、Ly6aなどを含む三次リンパ組織形成に関連した複数のAS関連遺伝子が挙がっている。これらの遺伝子に関してさらに詳細を調べているところである。また構成細胞として特に樹状細胞に着目し、三次リンパ組織形成における役割について解析を進めているところである。さらにMyD88シグナルの開始に関わるTLRの特定を進めている。現在TLR9遺伝子を欠失させたASモデルマウスの作製を進めており、TLR9に着目して研究を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ほぼ順調に研究成果が得られているため。

今後の研究の推進方策

今後も基本的にASモデルマウスとMyD88遺伝子欠損ASモデルマウス、あるいはTLR9遺伝子欠損ASモデルマウスとの差異を解析していく。上述のように現状でマイクロアレイのデータ解析結果により複数のAS関連遺伝子候補が挙がっているため、更なる解析を進め、これらの遺伝子に関してさらに詳細を調べていく予定である。また組織から採取した細胞のフローサイトメトリーによる樹状細胞サブセットの特定とその特徴の解析、ならびにTLR9により活性化されるAS関連シグナル伝達経路の解明に関連する研究計画も積極的に進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

購入物品がキャンペーン等により安価で入手できたため。また、計画していた旅費を使用していないために次年度使用額が生じた。翌年度の研究計画遂行において有効活用できるように計画したい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Effect of the Antimicrobial Peptide LL-37 on Gene Expression of Chemokines and 29 Toll-like Receptor-Associated Proteins in Human Gingival Fibroblasts Under Stimulation With Porphyromonas Gingivalis Lipopolysaccharide2020

    • 著者名/発表者名
      Megumi Inomata, Toshi Horie, Takeshi Into
    • 雑誌名

      Probiotics Antimicrob Proteins

      巻: 12 ページ: 64-72

    • DOI

      10.1007/s12602-019-09600-2

    • 査読あり
  • [学会発表] Role of P2X7 in LL-37-induced chemokine production and cytotoxicity in gingival fibroblasts2020

    • 著者名/発表者名
      Inomata M. and Into T.
    • 学会等名
      第93回日本細菌学会総会(名古屋)
  • [学会発表] Activation of NLRP3 inflammasome by mycoplasmal lipoproteins/lipopeptides only through the TLR2-mediated signals in murine macrophages2020

    • 著者名/発表者名
      Saeki A., Into T., Hasebe A. and Shibata K.
    • 学会等名
      第93回日本細菌学会総会(名古屋)
  • [学会発表] Porphyromonas gingivalisの外膜糖タンパク質は抗菌ペプチドLL-37への抵抗性を有する2019

    • 著者名/発表者名
      引頭 毅、堀江 俊、猪俣 恵
    • 学会等名
      第92回日本細菌学会総会(札幌)
  • [学会発表] Involvement of P2X7 receptor in chemokine production and cytotoxicity induced by the antimicrobial peptide LL-37 in human gingival fibroblasts2019

    • 著者名/発表者名
      Inomata M. and Into T.
    • 学会等名
      第61回歯科基礎医学会学術大会(東京)
  • [学会発表] IL-1β release by living macrophages in response to mycoplasmal lipoproteins and lipopeptides2019

    • 著者名/発表者名
      Saeki A., Into T., Hasebe A., Suzuki T. and Shibata K.
    • 学会等名
      第61回歯科基礎医学会学術大会(東京)

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi