研究課題/領域番号 |
18K09563
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
堂前 英資 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (50454559)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヒトVγ9Vδ2 T細胞 |
研究実績の概要 |
ヒトVγ9Vδ2 T細胞(以下ヒトγδ T細胞)のT細胞受容体のリガンドは活性化したBTN3A1であり、BTN3A1の活性化は細胞内に生成されるイソペンティニル二リン酸等によって活性化されるとされてきた。しかしながら最近、BTN3A1の近縁分子であるBTN2A1が直接ヒトγδ T細胞のT細胞受容体に対して抗原を提示し、BTN3A1はその補助的分子であると報告された (Science. 2020 Feb 7;367(6478)). これまでに我々は口腔癌細胞での、BTN3A1の発現を確認していたが、BTN2A1の発現は未確認であった。そこでBTN2A1の発現を確認すべく検討しているが、よい抗体がないことから、現在、抗体を変更して発現状況を確認すべく実験を行っている。しかしながら、本研究ですでに明らかになった、窒素含有ビスホスホネートによるメバロン酸経路阻害で細胞内にイソペンティニルピロリン酸 (IPP)を生成しヒトγδ T細胞を活性化する点や、口腔癌細胞がヒトγδ T細胞により殺傷される事実には違いがないため、根本的な問題ではないと考え、BTN2A1の発現確認と、その他の検討を並行して研究を遂行している。本研究課題では口腔癌細胞内でのIPP生成と癌細胞周囲の栄養状態との関係を明らかにし、ヒトγδ T細胞による癌抑制作用の可能性を検討するものである。培養口腔癌細胞の培地中の血清から脂質を除去することにより、転写因子SREBP2の切断と活性化を確認した。またヒドロキシプロリルベータサイクロデキストリンによっても、SREBP2の切断と活性化を確認した。現在口腔がん細胞におけるBTN2A1の発現を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BTN2A1の発現検出は遅れているが、研究実績の概要に示した内容の一部をまとめたものを学術論文として発表したため。
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今後の研究の推進方策 |
BTN2A1の発現検出のできる抗体を作成すると同時に、遺伝子発現などで補完的データを得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が効率的に進んだことにより次年度使用額が生じた。前年度に新たに報告されたBTN2A1という新しい抗原提示分子が口腔癌細胞で発現している否かの検討が必要になったため、抗体作成費用として利用する。
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