研究課題/領域番号 |
18K09564
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
山根木 康嗣 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00434944)
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研究分担者 |
中正 恵二 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00217712) [辞退]
山田 直子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10319858)
野口 一馬 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (50309473)
西浦 弘志 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90284760)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / リンパ管新生 / エピジェネティック試薬 / 転移抑制 |
研究実績の概要 |
口腔扁平上皮癌は比較的早期に頸部リンパ節や肺転移を来し、頸部リンパ節転移を認めた症例ではその生存率は半減するといわれている。癌の増殖・進展にもっとも関係するのが、腫瘍内新生血管および新生リンパ管であり、これらを抑制することが直接的な抗(殺)腫瘍効果をもたらすだけでなく遠隔転移を抑制すると考える。従って、口腔扁平上皮癌の治療成績の向上のためには、リンパ節および肺転移の抑制又は転移巣を消滅させる新たな治療法を開発し、外科・化学療法と併用して行う必要がある。本研究ではヒト扁平上皮癌細胞が発現する内因性血管抑制因子に着目し、腫瘍性リンパ管新生を阻害する事を目的とする。 ヒト口腔扁平上皮癌細胞株(OSCC)にヒストン脱アセチル化阻害剤であるバルプロ酸(VPA)とmTOR阻害剤ラパマイシン(Rapa)を作用させ、Semaphorin 3F(SEMA3F)およびそのレセプターであるNeuropilin 2(NRP2)と共レセプターであるPlexinAの発現の増減を検討した。 ①Rapaによる作用が、リンパ管新生因子としてメジャーな可溶性VEGF-Cを増加させた事により、VPAと併用する試薬の変更を検討した結果、OSCCの増殖能を強力に抑制することから、Genistein (イソフラボン) との併用を模索した。 ②VPAおよびGenistein作用下でのOSCCにおけるVEGF-C mRNAの発現の減少を認めた。 ③VPAおよびGenistein作用下でのOSCCにおけるSEMA3F, NRP2 mRNAおよび蛋白の発現の増加を確認した。またPlexinA mRNAの発現の増加も確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
①mTOR阻害剤ラパマイシンによる作用が、リンパ管新生因子としてメジャーな可溶性VEGF-Cを増加させて事により、エピジェネティック試薬の変更を検討し、口腔扁平上皮癌細胞の増殖を強力に抑制するGenistein (イソフラボン) を使用するための至適濃度を検討したため。 ②Genistein単独およびVPAとGenisteinの併用によるVEGF-C、SEMA3F、NRP2とPlexinAの発現の変化を再度検討したため。 ③リンパ管内皮細胞株の培養条件の決定に手間取ったため。
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今後の研究の推進方策 |
①VPAとGenisteinの作用がヒトリンパ管内皮細胞株におけるVEGF-CおよびVEFGR-3の発現の変化、SEMA3F、NRP2、PlexinAの発現への影響を検討する。 ②epigenetic changeによるヒト扁平上皮癌細胞とリンパ管内皮細胞の共培養にてリンパ管管腔形成(tube formation)および遊走能への影響をin vitroで検討する。 ③切除された口腔扁平上皮癌の手術検体の収集およびティッシュマイクロアレーにより標本作成を行い、免疫組織化学染色もしくはIn situ hybridization法を施行・解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでに購入していた細胞株を使用した。試薬等はこれまでに購入していた物を使用もしくは代替試薬が安価であったため未使用額が生じた。 次年度は免疫染色抗体を用いた実験やリンパ管内皮細胞を用いた実験を行うため、それらの購入費用に使用する予定である。
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