研究課題
期間の延長が承認された2021年度は、最終年として、間葉系幹細胞(MSC)によるTh1型病変の抑制法の確立を目指して研究を進めた。①前年度の進めていた免疫調節型MSC(M2-MSC)の誘導機序を明らかにして、再現性の向上を図った。具体的には、pan-macrophageであるRaw細胞をM1およびM2型マクロファージに誘導した。M2マクロファージとMSCを共培養を行うことにより、M2-MSCを確実に再現性よく回収できることが明らかとなった。②Th1型病変のエフェクター細胞であるM1マクロファージが、抗炎症作用に関与するM2マクロファージを不活性化する因子を産生するかを検討した。実験的には、病変部から回収したM1マクロファージの短期培養からの培養上清が、M2マクロファージおよびM2-MSCの不活性化を誘導した。③M2-MSCのTh1型病変への抑制効果を検討した。M2-MSCはRawからの誘導からのおよび病変部からのM1マクロファージを不活性化することが明らかとなった。また、長期間のM2-MSCとM1マクロファージ共培養では、M1マクロファージがM2マクロファージに形質転換する傾向が認められた。これらの結果から、Th1型口腔粘膜病変はエフェクター細胞であるM1マクロファージが抑制効果をもつM2マクロファージを不活性化することで病変が進行する可能性が示唆された。また、人為的に作製したM2-MSCはM1マクロファージを不活性化することが明らかになった。したがって、難治性のTh1型口腔粘膜病変の治療には、人為的M2-MSCの投与が病変を抑制できる可能性が示唆された。
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