研究実績の概要 |
8K(画素数7,680×4,320)等の超高精細映像は、人の視覚限界(眼の解像度)に近づくものであり、「画面上に再生された映像」であったものが、映像ではなく「そこにある現実」に見えてくる。また、歯内療法学は硬組織に囲まれ、直接見ることが困難な狭小な根管を治療対象としており、歯の内部に広がっている髄腔の三次元的な位置関係を把握することは重要である。本研究では、我々の特許出願技術である「コンピュータビジョンによる手術ナビゲーション方法並びにプログラム」により、患者のCT画像を元にコンピュータ上で仮想的に構築した三次元像との位置合わせを実現し、術前計画された画像情報を術野カメラの映像に拡張現実的に重ね合わせて表示することにより、高度な位置制御が可能な安全性の高い次世代精密根管治療支援システムの実現を目指す。 新しい歯内療法学の展開には、最先端の情報学、ロボット工学、バイオなどの学際的な基盤技術体系を構築することが必要であると思われる。歯内療法学の分野にコンピュータビジョンや拡張現実などの最新のテクノロジーを導入することによって生まれる新たな技術は、歯内療法の新たな展開という観点からも重要と考えられる。立体映像により複雑な根管形態を誰にでも容易に把握することが可能となり、より確実な診断と治療が可能となる。低侵襲治療を大きく変貌させる可能性が高く、得られた成果は極めて広範な疾患の治療に有用なものとなる。本研究では、4K(3840x2160)解像度の手術用顕微鏡カメラを用い、患者のCT画像を元にコンピュータ上で仮想的に構築した三次元像との位置合わせを実現した。三次元的な識別精度、処理速度を評価し、精密根管治療支援システムとしての将来的な可能性と問題点を検証した。
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