研究課題/領域番号 |
18K09571
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
保坂 啓一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (80451946)
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研究分担者 |
中島 正俊 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (50272604)
林 樹莉 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (60803187)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | テラヘルツ(THz)波 / イメージング / 歯質接着性レジン / コンポジットレジン |
研究実績の概要 |
接着歯学研究の飛躍的発展によってコンポジットレジンや歯科用セラミックスを用いた歯冠修復接着治療はさまざまな症例に応用されるようなり、FDIが提唱するMinmal Intervention Dentitry (MID)に大きく貢献している。しかしその耐久性は、口腔内環境における接着の劣化に大きく影響を受ける。重合収縮応力に関連した界面封鎖性の喪失や歯質亀裂の発生を検出するため、近年、OCTを用いた非破壊イメージング研究が急速に進められてきた。ただし,OCTには波長特性による深さ方向の観察限界が存在する。本研究の目的は、OCT観察不可能領域まで侵入するテラヘルツ(THz)波を用いた新しいイメージング技術を開発し、深在性窩洞底部における接着メカニズムとダイナミクスを解明し,臨床においては,施術中の接着エラーの検出や,メンテナンスにおける接着劣化のエラーの検出を実現することである。本年度は,歯科用イメージングのためのTHz波の最適化について検討を行った。THz波を、歯やコンポジットレジンや歯科用セラミックスなどの修復材料に用いた場合の光学的特性や画像精度を検討し、屈折率などの違いが画像精度に与える影響を調査した。THz波の最適化後、抜去歯やin vitro で作成した修復物などを用い、う蝕や修復物内部の欠陥や辺縁漏洩、歯冠や歯根の亀裂、被覆形態の修復物の辺縁部適合性について、非破壊断層画像診査ならびに立体画像構築について,OCT(Optical Coherence Tomography)画像との比較検討を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一研究段階として,THz波を、歯やコンポジットレジンや歯科用セラミックスなどの修復材料に用いた場合の光学的特性や画像精度を検討し、屈折率などの違いが画像精度に与える影響を,OCT(Optical Coherence Tomography)イメージングと比較しながら,研究計画に基づいて,調査検討している。
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今後の研究の推進方策 |
THz波によるイメージングについてひき続き検討を重ね,抜去歯やin vitro で作成した修復物などを用い、う蝕や修復物内部の欠陥や辺縁漏洩、歯冠や歯根の亀裂、被覆形態の修復物の辺縁部適合性について、非破壊断層画像診査ならびに立体画像構築について総体的な評価を行う。OCTのみならず、TMRやCLSM、TEM、SEMなどとの観察結果との照合も必要となる。歯科用THz波イメージングを行うことによって、う蝕や歯の亀裂の診断における精度と安全性の飛躍的な向上のみならず、診療の術中における処置の確認や、効果的な術後管理が可能にする。すでに修復処置をされた歯に対しては、接着修復物の深部観察、非破壊診断による定期点検を行うことによって、口腔内接着修復物の構造欠陥や、劣化としての疲労損傷を早期発見する非破壊診断につながる。従来の診査方法では不可能な、微小な辺縁漏洩や二次う蝕の発生をも検知し、接着修復の重大な破壊を防止し、早期保全治療を実現するため,近年、装置技術の進歩によって、光ファイバー結合型のテラヘルツ波センサーや超小型テラヘルツ波プローブが開発されており、それらの応用を検討し,実際の口腔内で使用するのに必要な小型化の問題についても取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の使用量,研究成果発表計画の変更のため
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