研究課題/領域番号 |
18K09581
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
山本 松男 昭和大学, 歯学部, 教授 (50332896)
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研究分担者 |
田中 準一 昭和大学, 歯学部, 講師 (40710166)
美島 健二 昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
相澤 怜 昭和大学, 歯学部, 助教 (80710673)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歯周病 / 接合上皮 / 幹細胞 / 多色細胞系譜の追跡 |
研究実績の概要 |
歯に上皮が接着する部位は接合上皮と呼ばれる。発生学的に歯原性上皮で、歯の萌出後は口腔粘膜上皮由来の細胞によって置換・維持されるとされるが、接合上皮組織を維持するメカニズムの詳細は不明な点が多い。歯周病治療法の向上のために、接合上皮幹細胞を中心とした歯肉組織維持機構や老化との関連の解明が急務である。研究の目的を(1)-(3)とした。(1) 歯原性上皮由来接合上皮の口腔粘膜由来細胞による置換メカニズムの解析、(2)一幹細胞(もしくは細胞ヒエラルキーの高い母細胞)に由来する領域探索(細胞系譜の追跡)と幹細胞様細胞の探索、(3)領域の経時的な解析。(1):GFPマウス歯原性上皮を持つ歯胚を、同系統野生型もしくは赤色蛍光タンパクを持つ遺伝子改変マウスに移植し、歯の萌出後経時的(50, 80,110,140,200日)に観察した。GFP陽性細胞数は減じ200日ではほぼ認められなくなった。また外側基底板付近より、口腔粘膜由来細胞が侵入する像が多数観察された。接合上皮の一部を切除し治癒した新生接合上皮組織を解析したところ、組織学的マーカー(インテグリンβ4、ラミニン5)の発現とともに正常な組織構造が確認された。遺伝子発現容態は口腔粘膜上皮と異なり、歯原性接合上皮で知られるICAM-1、ODAMやS100A8,9分子の発現は上昇するものの、主成分解析では歯原性接合上皮とも異なる細胞集団であることが示唆された。(2)についてタモキシフェン誘導性Cre-loxpシステムを応用し、Rosa26CrとRosa26Rainbowを掛け合わせたRosa26Cre/rbwマウスの繁殖に成功し、任意の時期に個々の接合上皮細胞に赤、青、緑、黄のいずれかの蛍光タンパクをランダムに一色だけ発現させることに成功した。(3)については、蛍光タンパクを発色後の経時的な変化を複数の条件下で観察しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね、順調の進行している
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今後の研究の推進方策 |
接合上皮幹細胞様細胞の存在を示すために、複数存在すると予想される幹細胞のそれぞれに、色の異なる蛍光タンパク質を発色させるべく、Rosa26Cre/rbwマウスでの発色のタイミングの条件検討を行うとともに、経時的な変化を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度内に行った凍結切片作成作業で、その過程で必要になる試薬及び消耗品の消費が予想よりも少なくなったため。計画の進捗に滞りはなかった。2020年度には試薬および消耗品の使用を多くする予定。
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