| 研究課題/領域番号 |
18K09585
|
|---|
| 研究機関 | 日本歯科大学 |
|---|
研究代表者 |
石黒 一美 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20508486)
|
|---|
| 研究分担者 |
村樫 悦子 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (40409222)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
| キーワード | LLLT / レーザー / 歯周組織 / マイクロアレイ / 歯肉線維芽細胞 / バイオインフォマティクス解析 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究での目的は、新たなバイオインフォマティクス解析ツールを用いてタンパク質相互作用を考慮した網羅的な遺伝子ネットワークを構築し、レーザー光による光刺激によって細胞増殖が促進する遺伝子調節機構を解明することである。平成30年度から4年間で、低反応レベルレーザー治療（LLLT；Low reactive Level Laser Therapy）を想定した一定条件下でのヒト正常歯肉線維芽細胞へのレーザー照射を行い、遺伝子発現や遺伝子調節機構を同定するためにDNAマイクロアレイ、バイオインフォマティクス解析ツールを用いた遺伝子ネットワークの構築を行っていく。2018年度は以下の研究を実施した。
1. Nd:YAGレーザー装置を用いて一定照射条件でレーザー照射が可能であるステントを準備した。LLLTを想定したin vitroでのレーザー照射条件の検討を行い、WST-8の改良法を用いて生細胞数からレーザー非照射と比べ、細胞増殖能の増加が認められ、乳酸脱水素酵素活性の測定から細胞毒性が認められない条件に決定した。
2. マイクロアレイ解析に可能なRNAサンプルの基準を満たすよう、total RNA抽出が行える方法を検討した。
3. レーザー照射前とレーザーを照射した後6時間で、細胞の回収、total RNA抽出を行い、その後、マイクロアレイ解析を委託した。
4. バイオインフォマティクス解析ツールを用いて、レザー照射6時間後のレーザー非照射群とレーザー照射群の解析を行った。
以上の結果から、LLLTで用いられる低反応レベルレーザー照射は、歯肉線維芽細胞における細胞外マトリックスの形成、細胞の接着や遊走能、細胞周期に関与する遺伝子発現に影響を与えることが示唆された。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度から4年間で、LLLTを想定した一定条件でNd:YAGレーザー光を照射できる装置を作製、ヒト正常歯肉線維芽細胞（HGF）にレーザー光を照射、RNA抽出、DNAマイクロアレイを委託した後、バイオインフォマティクス解析ツールを用いて遺伝子ネットワークの構築し、遺伝子発現遺伝子調節機構を同定する。その後、リアルタイムPCR法による遺伝子発現解析とsiRNA、遺伝子過剰発現を用いた遺伝子の機能解析を行うことを予定していた。本年度研究遂行状況、変更点を以下に示す。
1. 自動でレーザーを一定照射できる機器に関しては製作が難しかったが、本研究で使用するために一定条件でレーザー照射可能なステントを製作することができた。
2. LLLTを想定したin vitroでの照射条件を細胞増殖能、決定することができた。
3. マイクロアレイ解析に必要な基準を満たしたRNA抽出を行うことが可能となり、当初の予定通りマイクロアレイ解析を問題なく行うことができた。
4. 複数のバイオインフォマティクス解析ツールを用いた解析を始めた。
|
| 今後の研究の推進方策 |
1. レーザー照射6時間後のマイクロアレイ解析を引き続き、バイオインフォマティクス解析ツールを用いて行っていく。解析に用いるソフトはフリーソフトが多数あるが、必要となるPCスペックが高いものがあった。そのため、そのスペックに対応した新たなPCを購入して解析を進めていく。
2. 解析の結果から、keyとなる遺伝子の発現をリアルタイムRT-PCR法で確認していく。マイクロアレイ解析でRNA抽出を行っているため、スムーズに研究が遂行できると考えられる。
3. 経時的な変化を調べるため、照射後の複数タイムポイントでのマクロアレイ解析を委託する。
4. 経時的な遺伝子変化を調べるためフリー解析ソフトTimeXnetを用いた解析を進める。
5. バイオインフォマティクスで解析した結果に基づき、siRNAを用いたloss-of-function、遺伝子過剰発現によるgain-of-functionを行い、特定した遺伝子の機能解析を行う。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
自動化したレーザー照射ステージは高額となるため、一定条件でレーザーが照射できるステントの作製に留めた。
バイオインフォマティクス解析ソフトは、使用できるPCスペックが限定されている場合があるので、次年度以降にPCの購入を行いさらに解析を進めていく。
|
