SDラットを使用し咬合力排除モデル(対合歯抜歯)および咬合性外傷モデル(対合歯過高)にて実験を行い、3日、5日後、10日後における組織標本を作成した。作成した組織標本を用いて病理組織学的変化を評価するためにHE染色やTRAP染色を行い、スクレロスチン、FGF-23、DMP-1、CTGF、ペリオスチンの発現の分布については免疫組織学的染色を用いて検討を行った。その結果を評価して動物モデルにおける咬合力に対するメカノセンサーとしての骨細胞およびセメント細胞の働きを明らかにすることを目的に研究を行った。 咬合性外傷モデルラットの組織標本では、根分岐部に近接する歯槽骨にに硝子様変性を伴う強い吸収が認められ、さらに多数の破骨細胞の出現が認められた。現在同標本を用いて、スクレロスチン、FGF-23、DMP-1、CTGF、ペリオスチンの発現を検討するために、免疫組織学的染色を行い、無処置のラットの組織標本との比較により、その発現の変化を検討している。 咬合力排除ラットモデルの組織標本の作成を行っており、咬合性外傷モデルラットと同様に病理組織学的変化やサイトカインの発現の変化について検討することを予定している。さらに今後は骨細胞やセメント細胞の培養系を用いた研究を行い、それにより細胞単位におけるメカニカルストレスによるスクレロスチン、FGF-23、DMP-1、CTGF、ペリオスチンの発現やその影響を検討する事ができる。 本研究の成果により検討中の因子の働きを明らかにすることにより、骨組織及びセメント質形成に関与する共通因子を同定し、その応用により歯周組織再生へと発展させる予定である。
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