研究課題
近年の技術革新により、タンパク質のユビキチン化を網羅的に探索することも可能になりつつあるが、歯周疾患の解明に応用するための方法論は確立されていない。本研究はユビキトーム解析を発展させ、様々な疾患に起こりうる代表的な翻訳後修飾であるユビキチン化に焦点をあてて、歯周疾患におけるユビキチン化を網羅的探索により捉え、歯周疾患の早期診断および再発予測治療効果判定等に応用することを目的としている。本研究は歯肉溝浸出液(GCF)ならびにヒト歯肉線維芽細胞(HGFs)中のユビキチン化タンパク質・ペプチドを探索し、同定後、ポリユビキチン鎖の種類も同定する。見出されたマーカー候補について、質量分析計により直接定量可能なアッセイ系を確立する。また、歯周疾患で高発現しているユビキチン化タンパク質についてもユビキチン化部位を含むペプチドを合成してペプチドアレイを作製する計画である。高効率で再現性が良い有機溶媒沈殿法を用いてGCFとHGFsからペプチドの抽出を試み、抗ユビキチン抗体をカップリングしたカラムにGCFタンパク抽出液ならびにHGFs細胞抽出液を添加し、抗ユビキチン抗体を用いた免疫沈降を行って、ユビキチン化タンパク質を濃縮した。精製したユビキチン化タンパク質をトリプシン消化後、質量分析装置を用いたショットガン解析を行った。各結合型に特有なシグネチャーペプチドの検出とMS/MS解析による結合型の特定とショットガン解析で特定の標的タンパク質に結合したポリユビキチン鎖の種類の同定を行った。HGFsを用いて結合タンパク質を用いた免疫沈降し、SILAC法(Stable isotope labeling by amino acids in cell culture)にて同定と同時に定量後、疾患で上昇傾向が示唆されたユビキチン化ペプチドを合成してアレイ作製を検討した。
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