研究課題/領域番号 |
18K09601
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
白石 千秋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (30336177)
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研究分担者 |
鵜飼 孝 長崎大学, 病院(歯学系), 准教授 (20295091)
尾崎 幸生 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (60204187)
吉村 篤利 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (70253680)
柳口 嘉治郎 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (50264255)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 実験的根尖性歯周炎 / コレステロール結晶 |
研究実績の概要 |
6週齢Wistarラットに3種混合麻酔薬(メデトミジン0.375g/kg、ミタゾラム2mg/kg、ブトルファノール2.5mg/kg)を腹腔内投与した後、ラバーダム防湿下にて先端の直径が0.5mmの滅菌済み歯科用切削器具を用いてマイクロスコープ観察下にて上顎第一臼歯を両側とも露髄・髄室開拡を行い、マイクロエキスカを用い歯冠部歯髄を除去した後、4根管すべてを根管口にて断髄を行った。近心根以外の3根の根管口は断髄後、光重合型グラスアイオノマーセメントにて封鎖を行い近心根の根管口のみ開放状態にした。なお実験に用いた上顎第一臼歯の実験期間中での破折を防ぐために対合歯となる下顎第一臼歯の抜去を行った。 露髄後に同様の3種混合麻酔薬を投与後、CTにて上顎第一臼歯を含む顎骨の撮影を行い根尖性歯周炎成立の過程の観察を継続して行っていった。露髄4週経過後には根尖性歯周炎の成立が確認できたため3種混合麻酔薬の過剰投与により屠殺を行い上顎第一臼歯を含む下顎骨を一塊として摘出した。軟組織を除去した後、通法に従い4%パラホルムアルデヒドにて浸漬固定、10%EDTA溶液にて脱灰後にパラフィン包埋を行い厚さ6μmの連続切片を作製した。HA染色標本作製後、光学顕微鏡にて上顎第一臼歯近心根及びその周囲組織を観察しコレステロール結晶の析出の有無を調べた。しかしこの露髄期間においてはコレステロール結晶の析出は観察できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コレステロール結晶は一般的に難治性根尖性歯周炎の病巣内に多数観察されることが知られており内因性の異物として難治性に関与すると言われている。今回の実験で露髄後そのまま放置すると4週後には実験的根尖性歯周炎が成立することが確認できたがコレステロール結晶析出の有無を確認するまでには至らなかった。。その理由の一つとしてラットの根尖性歯周炎はヒトとは違いそのまま放置していても自然と治癒傾向に進むことが知られており難治性の状態がどの期間か特定するのが難しいことが原因であると思われる。さらにいわゆる難治性根尖性歯周炎の状態の時期が特定できたとしてもヒトでみられるようなコレステロール結晶が本当に観察されるのかまだ詳しい報告がなされていないことも理由の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
今までの研究からラットの上顎第一臼歯を露髄、髄室開拡を行いそのまま放置しておくと根尖性歯周炎が惹起されることが確認できた。ただ難治性根尖性歯周炎の状態を確立するために根管内に根管内細菌の投与を行うことで、より強い感染の状態をが作り上げられ難治性の状態に近づくのではと期待される。 また開放しただけではコレステロール結晶析出が観察されないときは、コレステロール結晶を含む溶液を根管内に洗浄針で直接注入し根尖歯周組織への影響を観察していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進度が遅れており次年度さらに追加の動物実験が必要になったためラットの購入費用にあてたい。
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