研究課題/領域番号 |
18K09603
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
作田 哲也 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (20284888)
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研究分担者 |
小松澤 均 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (90253088)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 糖尿病 / インクレチン / 歯周病 |
研究実績の概要 |
現在、日本における2型糖尿病の患者の約半数に対する治療薬として用いられているインクレチン関連薬(Journal of Diabetes Investigation 4, 108-130, 2013)のうち、Glucagon-like pepetide (GLP)-1)受容体作動薬を用い、Candida albicansにおける増殖能とバイオフィルム生成能に与える影響について検討した。■研究方法 1)GLP-1受容体作動薬:エキセナチド(商品名:ビデュリオン;アストラゼネカ)、C. albicans(JCM1537株;理化学研究所)2)増殖能:増殖培地:TSB、MTTアッセイ及びWST-1アッセイを用いてGLP-1作動薬の存在/非存在下における増殖能を比較 3)バイオフィルムアッセイ(2%FBS添加RPMI1640、クリスタルバイオレットにて染色)4)得られたデータはMann Whitney U testにて有意差の検討を行った。 ■結果 1)GLP-1作動薬であるエキセナチドは、培養時間の初期(8時間まで)においてはC. albicansの増殖を濃度依存的に抑制する傾向が認められたが長時間の培養(24時間以上)ではC.albicansの増殖に対して何ら変化をもたらすことはなかった。2)GLP-1作動薬であるエキセナチドは、C. albicansのバイオフィルム形成に対して抑制する傾向を示した。上記の結果はGLP-1受容体作動薬の1種類のみのデータであるので、現在、他のGLP-1受容体作動薬における影響について検討中である。また他のカンジダであるCandida glabrataに対する影響についても調べていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は歯周病原性細菌としてPorphyromonas gingivalisやAggregatibacter actinomycetemcomitansに対する影響を検討していたが、同じく歯周病にも関与し、さらに義歯性口内炎にも関与する真菌に着目し検討を進めた。真菌のうちC. albicansに対してその増殖能に影響を与えないにも関わらずバイオフィルム形成を抑制するという新たな知見を得ることができた。今後、P. gingivalisやA. actinomycetemcomitansと同時にC. albicansに対する影響も検討していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
・辺縁性歯周炎起炎細菌叢検証に向けた定量法の確立:辺縁性歯周炎の起炎細菌とされるPorphyromonas gingivalis, Prevotella intermediaやAggregatibacter actinomycetemcomitans を日本細菌学会から購入し、定量性PCRによる定量法の確立を行う。 ・歯周組織構成細胞におけるパターン認識受容体と炎症性サイトカインの発現の解析:ヒト歯肉線維芽細胞、ヒト歯根膜細胞やヒト角化細胞)においてP. gingivalisのやP. intermediaのLPSや超音波破砕物で刺激を行い、Toll like receptor (TLR)の発現や誘導される炎症性サイトカインの産生をウェスタンブロット法やELISA法により解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末になりELISAセット(OptEIA ELISA Sets 定価:170,000円)を購入する予定であったが使用額が不足していたため購入できなかった。新年度になりすぐに購入手続きを行った。
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