研究課題
歯周炎歯周組織において一部の歯周病原細菌が歯肉上皮組織や、さらに深部の結合組織内に侵入していることが報告されている。しかしながら角化層、顆粒層、 有棘層、基底層、基底膜から構成される重層上皮において、どのような経路で細菌が侵入しているか明らかではない。非定型NLRP3インフラマソーム活性化に伴 うピロトーシスと呼ばれる細胞死が種々の病原細菌の感染と関連していることが示されている。そこで我々はHSC-2単層培養におけるカスパーゼ4、5刺激による非定型NLRP3インフラマソーム活性化による上皮細胞細胞死に関する研究を行った。細胞死はトリパンブルー染色とLDHの細胞外放出により測定した。Esherichia coli LPSのHSC-2細胞へのトランスフェクションは、細胞死を誘導するのに対して、Porphyromonas gingilvalis LPSのトランスフェクションは細胞死を誘導しないことを見出した。さらにマクロファージのTHP-1細胞を用いて実験を行った。THP-1細胞においてはエレクトロポレーション法を用いてLPSを細胞質内に配送した。THP-1細胞においては P. gingivalis LPSは細胞死を誘導したが、その活性はE. coli LPSよりも弱かった。THP-1細胞をRT-PCRで解析したところ、カスパーゼ4の発現は認められたが、カスパーゼ5の発現は認められなかったこと、さらに 両LPSによるピロトーシスはカスパーゼ4インヒビターで抑制されたことから、THP-1においてはカスパーゼ4が非定型型NLRP3の活性化に関与していると思われた。しかしながら、THP-1細胞をtype I IFNやIFNγで処理するとカスパーゼ5のmRNAのupregulationが観察されたことから炎症歯肉においてはカスパーゼ5もなんらかの役割を担っている可能性が推測された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
Nihon Shishubyo Gakkai Kaishi (Journal of the Japanese Society of Periodontology)
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ODEP
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https://www.fdcnet.ac.jp/col/index.php