研究課題/領域番号 |
18K09619
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大内田 理一 九州大学, 大学病院, 助教 (20325468)
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研究分担者 |
小栗 晋 九州大学, 先端医療イノベーションセンター, 学術研究員 (10756919)
チョ ビョンヒョン 九州大学, 先端医療イノベーションセンター, 特任助教 (20734528)
橋爪 誠 九州大学, 先端医療イノベーションセンター, 名誉教授 (90198664) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ナビゲーション手術 / 歯科インプラント学 |
研究実績の概要 |
歯科インプラント手術は1症例1症例各々症例に応じた、いわばオーダーメイドの手術である。そのため、術前において十分な診査を行い、インプラントポジション、サイズなどを決定する。しかしながら手術中においてその設計を再現するために、現在でも経験や勘に頼っている場合がほとんどである。歯科インプラントナビゲーションシステムは近年外国製品がいくつか製品化され市販され始めたが、国産のものはまだない。日本に輸入され市販化されているわずかな製品も全てPMDAクラスIである。これまでわれわれのグループは「直感的インターフェースを有する歯科インプラント手術ナビゲーションシステムの開発」を行ってきた。この赤外線を用いた手術ナビゲーションシステムは、ユーザーフレンドリーな設計操作と埋入設計ポジションを精度よく再現することにより、手術の安全性の向上や補綴操作の予知性を高めることに貢献出来るシステムである。システムの特許申請も行っており、九州大学病院倫理委員会の承認を得て臨床応用数も伸び、ソフト、ハード面でも成熟してきたため、本研究ではこのシステムをPMDAクラスIIの認証を取得し実用化、製品化するのが目的である。本研究だけの独創的な提案するシステムにより術者の経験と感覚、主観によって行われた手術が、精確な情報の提示と誘導によって行われ、治療成績が向上し合併症が減少することが期待される。また安全で低侵襲な手術の普及とともに手術トレーニングおよび教育にも有効活用ができると期待できる。このような高度な医療機器を日本から世界に発信していきたいと考えている。 本年度は実際のナビゲーション表示において,術者の直感的操作で出来るインプラントポジション設計と術中表示が出来るインターフェイスを開発し,特許申請をさらに2件行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.ハードウェアの試作及び改善 歯牙欠損術部に対するドリルの位置を表示するために,CT画像と位置センサーの座標系を統一させなければならない。これをレジストレーションと言い、ナビゲーション全体の精度を決めるに重要な作業である。同顎の残存歯の有無や配置を考慮し、これをマーカーの固定源としたマウスピースでレジストレーションを行うが、安定性が良くCT撮影時と手術時で着脱時に位置の再現性が良くなくてはならない。本研究ではこれまで製作してきたマウスピース型レジストレーション法をさらに設計改善し、精度はそのままに操作性や消毒滅菌性を向上し、また球状マーカーを円盤状としてコスト削減しながらも術中認識不能に陥らない安定した手術器具のトラッキング機能を確立した。 2.ソフトウェアの洗練及びプログラム 従来のインプラント手術は、術前に撮影したCT画像から埋入位置や角度を検討し、3DCTでポジションを決定したとしても、術者は術中自分の頭の中で、3次元位置関係を再構成しなければならなかった。そこで我々は、自動セグメンテーションとグラフィックライブラリを用い、対象とドリル先端等術具の3次元位置関係が直感的にわかるディスプレー技術を用い、直感的インターフェースを有し,臨床使用に支障のない処理速度と動作の安定性が保障される新しい手術ナビゲーションシステムを開発してきた。本研究では、さらに術者によるユーザーフレンドリーなインプラント設計操作や、一連の操作の入力を洗練したプログラムを作成した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き現在の移動可能な試作機を用いて学外提携病院と連携し、臨床データの収集や操作性のブラッシュアップを行う。PMDAクラスII認証申請を行うため、外形デザインを設計し、赤外線センサー、モニター、ワークステーション一体型の移動可能な改良試作機を完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
PMDAクラスII認証取得のための試作機の設計デザイン料、およびPMDAクラスII認証取得のための費用のタイミングにより次年度へ繰り越すため。
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