研究課題/領域番号 |
18K09623
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
鷲尾 薫 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50514486)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歯根膜 / インプラント / 細胞シート |
研究実績の概要 |
インプラント周囲炎はその埋入後5年から10年で約半数の患者に惹起される症状であるため社会的問題となっており、根本的解決策の開発が喫緊の問題となっている。本研究では炎症を抑制させる作用を持つ歯根膜細胞シートを付着させたインプラントの開発検討を重ねてきた。大動物を用いた顎骨欠損モデルへ移植した結果、開発した歯根膜細胞シートを付着させたインプラント体は手技や部位・顎骨の状態にもよるが、3割程度の成功率で顎骨内に固定できることが示された。固定できたインプラント体を組織学的に観察すると、移植後3か月では周囲骨との癒着は概ね認められず、歯根膜様組織を含む線維性組織が多方向へ走行している様子が一部認められた。ペリオテストMを用いた動揺度測定では天然歯と同程度の動揺度を示した。長期移植では、最長50週間インプラント体周囲に炎症が起こっていないことを確認した。一方でコントロール群として細胞を付着させずインプラント体のみを生体内へ移植した結果、移植後3か月程度で標準的なインプラント治療とオッセオインテグレーションが認められた。よって、本法はインプラント周囲に歯周組織様構造を長期間保持し、この組織によりインプラント周囲炎を制御する機能があることが示唆された。本開発はこの点において意義があると考える。 更にインプラント体をより高確率で顎骨内へ固定させるため早急にセメント質形成を誘導させる培養条件を検討した。細胞培養時に添加する試薬を変更させてパイロット実験を開始したが、それぞれの条件による細胞の分化誘導に大きな変化は認められず、再度検討が必要となった。更なる条件検討を行う予定であったがコロナ禍による制限により新たな検討を行うことはできなかった。開発を継続的に行うため次年度も延長して本研究を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響により本年度の研究を予定通り行うことができなかった。延長申請を行い次年度も引き続き行うことで研究を遂行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
延長申請を行い、本年度行うことができなかった研究を次年度実施する予定である。またチタンと細胞シートが接着可能であることが本研究から示唆されたため、チタンプレートを用いて顎骨を固定する際にも細胞シート技術を応用できないか検討予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により研究自体を行うことがほとんどできなかった。次年度まで本研究について延長申請を行い、予定していた計画を次年度に繰り越して行う。
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