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2018 年度 実施状況報告書

オーダーメードジルコニアインプラントのための表面改質法

研究課題

研究課題/領域番号 18K09628
研究機関愛知学院大学

研究代表者

鶴田 昌三  愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (40183488)

研究分担者 伴 清治  愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (10159105)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードジルコニア / 衝撃強さ / PEEK / CAD/CAM用コンポジットレジン
研究実績の概要

既にジルコニアインプラントの破折やチッピングが報告されているため,ジルコニアの衝撃に対する強さに着目した.日本セラミック協会規格JCRS 202-1994に従い,ジルコニアのシャルピー衝撃試験を行い,PEEKやPEKKなどの新しいプラスチック材料やCAD/CAM用焼結コバルトクロム合金と比較した.靭性に優れるジルコニアであってもPEEKやPEKKと同等の衝撃強さであり,コバルトクロム合金の1/20の衝撃強さだった.このため突然の外力により破壊される可能性を示した.これらからCAD/CAMで作製する際にオーダーメードインプラントの形状や厚さなどを決定することができる.その成果を第73回日本歯科理工学会学術講演会にて発表した.
PEEKやPEKKは水中浸漬やオートクレーブにより衝撃強さは変化しなかった.PEEKやPEKKなどのプラスチック材料はガラス転移点を有し,また製作時の熱履歴により性質が変化するので,熱分析を行ない,熱的挙動を観察した.同時に歯科用ワックスについても試験した.室温で軟らかく操作出来るユーティリティワックスの分解温度は,インレーワックスやパラフィンワックスに比較して高いことを明らかにした.その成果を第71回日本歯科理工学会学術講演会にて発表した.
近年保険採用されたCAD/CAM用コンポジットレジンと比較するため,とくに大臼歯用コンポジットレジンの水中保管による表面劣化を検討した. 蒸留水中にフィラー構成元素のシリコンが溶出することを示し,表面劣化が温度によって加速されることを示した.その成果を第72回日本歯科理工学会学術講演会にて発表した.
衝撃強さや表面劣化の観点から,CAD/CAM用材料の中でインプラントに適するのはジルコニア,PEEK,PEKK,コバルトクロム合金であるが,本研究課題の方法で滅菌と表面処理を同時に満足できるのはジルコニアであると考える.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

平成30年度はラットへのジルコニアインプラント埋植試験を行なう予定であったが,平成32年度に計画していた衝撃試験を優先した.このため,遅れていると判断した.しかし衝撃試験の結果,市販ジルコニアの衝撃強さはすべて近似した値を示し,製品間の差は少なかった.したがってインプラント体として各種のジルコニアが使用可能であると推察し,まず始めに1種類のジルコニアを選択した.ジルコニアディスクから径1mm長さ5mmになるよう切削,焼成し,課題である表面処理を行なった.所属大学へ動物実験計画の承認手続きをとり,現在,ラット大腿骨へのインプラント埋植を実施し経過観察中である.

今後の研究の推進方策

数種のジルコニアを使用して,ラットへのインプラント埋植試験を引き続き行う.径1mm長さ5mmの試料としたので,交付申請書に記載したインプラントの引き抜き試験はとりやめ,埋植後3,6,9週に大学所有のμ-CTにより新生骨の観察を精緻に行ない数値化する予定である.このことにより実験に供するラットの頭数を減らす事が出来る.ジルコニアの衝撃強さの検討を引き続き行ない,低温劣化の影響や,新しく市販されている高透光性ジルコニアの性質を検討する予定である.

次年度使用額が生じた理由

平成30年度はラットへのジルコニアインプラント埋植試験を行なうため,実験動物購入費用を見積もっていた.しかしインプラント埋植試験の開始が遅くなったので,未使用額が生じた.今年度はラットへのインプラント埋植試験を引き続き行うので,昨年度から予算を繰り越し,実験動物購入費用に充当する計画である.

  • 研究成果

    (19件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Leaching behaviors of computer-aided design/computer-aided manufacturing composite resin component elements immersed in water2019

    • 著者名/発表者名
      Iwata Junji、Asakura Masaki、Hayashi Tatsuhide、Tsuruta Shozo、Hori Miki、Nagase Yoshinori、Mieki Akimichi、Ban Seiji、Kawai Tatsushi
    • 雑誌名

      Journal of Prosthodontic Research

      巻: 63 ページ: 221~226

    • DOI

      10.1016/j.jpor.2018.12.001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Material selection in digital dentistry2018

    • 著者名/発表者名
      Ban Seiji
    • 雑誌名

      Annals of Japan Prosthodontic Society

      巻: 10 ページ: 209~215

    • DOI

      10.2186/ajps.10.209

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 歯科用ジルコニアの透光性と審美性2018

    • 著者名/発表者名
      伴 清治
    • 雑誌名

      デジタル歯科学会誌

      巻: 8 ページ: 95~102

  • [雑誌論文] 薬事工業動態統計から見た歯科医療の変遷2018

    • 著者名/発表者名
      伴 清治
    • 雑誌名

      歯機器誌

      巻: 23 ページ: 12~18

  • [雑誌論文] CAD/CAMマテリアルの再検証2018

    • 著者名/発表者名
      伴 清治, 植松厚夫, 武義 弘
    • 雑誌名

      補綴臨床

      巻: 51 ページ: 7~20

  • [雑誌論文] CAD/CAMマテリアルの再検証②2018

    • 著者名/発表者名
      伴 清治, 植松厚夫, 武義 弘
    • 雑誌名

      補綴臨床

      巻: 51 ページ: 169~181

  • [雑誌論文] CAD/CAMマテリアルの再検証③2018

    • 著者名/発表者名
      伴 清治, 植松厚夫, 武義 弘
    • 雑誌名

      補綴臨床

      巻: 50 ページ: 287~299

  • [学会発表] Discussion on retentive force attenuation and replacement timing of LOCATOR male2018

    • 著者名/発表者名
      Kawamura R, Sumi T, Takeshita K, Asakura M, Tsuruta S
    • 学会等名
      Academy of Osseointegration 2018 Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 歯科用ワックスの熱分析2018

    • 著者名/発表者名
      鶴田昌三, 水野正宣, 植松康明, 岩田純士, 河合逹志, 山本伊一郎
    • 学会等名
      第71回日本歯科理工学会学術講演会
  • [学会発表] 新規保険導入されたハイブリッドレジンとコア用レジンとの接着強さ 第5報2018

    • 著者名/発表者名
      阿部俊之, 橋本和佳, 佐久間重光, 尾関 創, 池田大恵, 山口智大, 伊藤 裕, 武部 純, 鶴田昌三, 朝倉正紀
    • 学会等名
      第92回愛知学院大学歯学会学術大会
  • [学会発表] 金箔, 銀箔上でのヒト他形核白血球の活性酸素生成2018

    • 著者名/発表者名
      盛口敬一, 朝倉正紀, 鶴田昌三, 河合逹志
    • 学会等名
      第72回日本歯科理工学会学術講演会
  • [学会発表] CAD/CAM用コンポジットレジン(大臼歯用)の水中保管による表面劣化2018

    • 著者名/発表者名
      岩田純士, 朝倉正紀, 鶴田昌三, 伴 清治, 三枝樹明道, 河合逹志
    • 学会等名
      第72回日本歯科理工学会学術講演会
  • [学会発表] デジタルデンティストリーにおけるインプラント上部構造の材料選択2018

    • 著者名/発表者名
      伴 清治
    • 学会等名
      九州歯科大学第9回学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] モノリシックジルコニア冠の特徴とその活用2018

    • 著者名/発表者名
      伴 清治
    • 学会等名
      日本臨床歯科CAD/CAM学会
    • 招待講演
  • [学会発表] デジタル技工の最前線, ジルコニアの透光性と審美性2018

    • 著者名/発表者名
      伴 清治
    • 学会等名
      日本デジタル歯科学会第9回学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 歯科用CAD/CAMテクノロジーの最前線, ジルコニア冠の審美性の向上2018

    • 著者名/発表者名
      伴 清治
    • 学会等名
      日本補綴歯科学会 第127回学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 高透光性ジルコニアの低温劣化に与えるイットリア含有量の影響2018

    • 著者名/発表者名
      伴 清治, 岩田純士, 朝倉正紀, 河合逹志
    • 学会等名
      第73回日本歯科理工学会学術講演会
  • [学会発表] PEEKの衝撃強さ2018

    • 著者名/発表者名
      水野正宣, 鶴田昌三, 河合逹志
    • 学会等名
      第73回日本歯科理工学会学術講演会
  • [図書] 歯科理工学教育用語集第3版2018

    • 著者名/発表者名
      一般社団法人日本歯科理工学会編 浅岡憲三,鶴田昌三,伴 清治ほか
    • 総ページ数
      167
    • 出版者
      医歯薬出版株式会社
    • ISBN
      978-4-263-45813-6

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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