■研究目的: 医科用CTの画像濃度値は「CT値」と呼ばれる.そんなCT値は,歯科用CTにおいては「CT値は出ない」とされてきた.しかし研究代表者は「適正なCT再構成によってCBCTでもCT値は出る」と仮説を立てて,検証を考えてきた. ■検証方法:「CBCTでもCT値は出る」の直接証明は困難なため,「対偶証明法」を利用して「MDCTであってもある条件下ではCT値が出ない」という検証を行うこととした.条件とは,撮影視野(FOV)からの被写体の“はみ出し“がCT値とならない原因と考え,はみ出し環境を検証した. ■これまで(2018~22年度)の経過: 【2018年度】第三世代放射光装置で正確なCT値を計測した自家製ファントムの物性劣化がわかり,再作製に多大なる時間を費やした(最終的に外注).【2019年度】自家製ファントム,頭部ファントム,「はみ出し環境」を作る障害物(①金属棒,②人骨)で,様々なCT撮影を行ったが,CT値の変化は見られなかった.【2020年度】FOVの内側/境界部/外側に,さらに様々な障害物(①金属棒,②人骨(本数ならびに配置を考慮),③水ファントム,④ゴムチップファントム)を設置し試行錯誤したが,意図する結果は導かれなかった.そこでMDCTメーカーに問い合わせを行うと,MDCTの撮影FOVは常に最大撮影をしていることがわかり,はみ出し環境の再考となった.【2021年度】医療用水溶性造影剤を希釈したファントムをマネキンの周りを囲むように考案した(実撮影はできず).【2022年度】医療用水溶性造影剤を希釈したファントムを作製するも,のMDCT装置の新機種入替えで未撮影となった. ■2023年の実績:実撮影をするも,CT値は水=0で,グラフの傾きが変わったが,長年考えてきた「CT値ははみ出しによって出なくなる」の仮説は間違っている可能性が示唆された.
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