研究課題/領域番号 |
18K09637
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡田 正弘 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (70416220)
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研究分担者 |
松本 卓也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40324793)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 軟組織接着 / 無機系生体材料 / ハイドロキシアパタイト / ナノ修飾 |
研究実績の概要 |
硬組織に対する接着剤に関してはこれまでに歯学領域が中心となって大いに発展・実用化が進められてきたが、軟組織に対する接着剤に関しては接着強さや生体適合性の観点から改善の余地が大きい。申請者らはこれまでに無機系生体材料の一種であるハイドロキシアパタイト(以下、アパタイト)を原料としたナノ構造体が軟組織に湿潤条件下で瞬時に接着すること、および、そのナノ構造によって接着強さが大きく変化することを見出した。本研究では、無機系生体材料ナノ構造体の接着性発現メカニズムの理解を目指し、さらに、そのメカニズムをアパタイト以外の無機系生体材料(金属を含む)に拡張することで新しい軟組織用接着材の創出を目指す。本年度の検討では、前年度までに得られたアパタイトナノ構造体の接着性発現メカニズムに関して得た知見を踏まえて、無機系生体材料として金属チタンを取り上げて検討を行った。表面処理を施したチタンの表面形態を走査型電子顕微鏡観察から評価し、組成ならびに結晶構造についてエネルギー分散型X線分光法ならびにX線回折法によって評価した。また、処理前後の水和構造を赤外分光光度計にて評価し、さらに、塩基性および酸性タンパク質の吸着性について検討を行った。その結果、表面処理条件によってチタンのナノ構造および水和構造が大きく変化し、タンパク質の吸着特性に影響することを明らかとした。さらに、表面処理によってチタンのマウス真皮に対する接着強さが大きく変化することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の検討においては、チタンを対象として、軟組織接着性に関連するタンパク質吸着特性に及ぼす材料表面性状についての知見を得ることを目的とした。【研究実績の概要】に記載したとおり、当初の目的を達成したため「(2) おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の検討結果から得られた情報をもとに、機械的性質に優れる金属系生体材料の表面処理について引き続き検討を行い、ナノ構造および組成の最適化を行う。最終的に、最適なナノ構造を付与した金属系生体材料のマウス体内留置試験を行い、軟組織接着性および長期安定性をin vivoにて評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
基材として用いたチタンについて当初の見積額よりも安価に購入することができたが、次年度の動物実験に費用を要することが判明しているため、当該費用へ支出する予定である。
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