研究課題
GPR81のリガンド(乳酸、α-ヒドロキシ酪酸、プロピオン酸、マレイン酸、グリコール酸、3-ヒドロキシイソ酪酸)が、細胞内に取り込まれて石灰化促進作用を発揮しているのかを調査する目的で、これらと、α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸とを併用し、実験を行った。GPR81リガンド添加下でα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸を1mM添加しても、有意な効果は観察されなかった。GPR81にリガンドが結合すると、細胞内のcAMP量が減少する事がわかっている。そこで、細胞膜透過性のある3',5'-cyclic monophosphateを併せて添加すると、GPR81リガンドの石灰化促進作用は完全に消失した。GPR81リガンドが骨芽細胞において、どの様なタンパク質発現の変化を及ぼしているのかを観察したところ、Smad7の抑制と、一部のSIBLINGタンパクの発現が抑制されていた。これは、低重合のポリL乳酸の添加でも、同様に観察された。GPR81のサイレンシングによって、Smad7とSIBLINGタンパクの発現抑制は解除された。そこで、Smad7とSIBLINGタンパクの発現抑制に、ARRB2が関与しているのかを調査する目的で、ARRB2のサイレンシングを行った。ARRB2のサイレンシングは、GPR81リガンド存在下でのSIBLINGタンパクの発現には、一切影響を及ぼさなかった。その一方、Smad7の発現抑制は解除された。このことから、GPR81リガンドによる、Smad7の発現抑制には、ARRB2が関与するが、SIBLINGタンパクの発現抑制には、ARRB2が関与しないことが判明した。
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International Dairy Journal
巻: 148 ページ: 105805~105805
10.1016/j.idairyj.2023.105805