研究課題/領域番号 |
18K09646
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
内藤 宗孝 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (20167539)
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研究分担者 |
有地 榮一郎 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (00150459)
野澤 道仁 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (20750607)
桑田 千亜紀 (橋本千亜紀) 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (80794578)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歯科インプラント治療 / 下顎骨皮質骨 / 粗造化 / 定量解析 / 骨粗鬆症 |
研究実績の概要 |
下顎骨皮質骨粗造化の定量的解析法を歯科インプラント画像診断へ応用することを目的として、この研究を進めている。 最初に評価すべき下顎骨皮質骨の解剖学的な位置を解剖学的指標のオトガイ孔に定め、その下方の下顎骨下縁皮質骨に決定した。その理由としては、1. 歯科用コーンビームCT画像の撮影領域内に存在する、2. 力線が近遠心的に走行する、すなわちハバースシステムが近遠心的に走行することからオステオンの吸収を顎骨横断像で観察することができることである。 定量的な解析方法を構築することを目的としているが、その一方で視覚的にその下顎骨下縁皮質骨の評価を行った。下顎骨下縁皮質骨の粗造化を正常、軽度粗造、粗造の3タイプに分類し得ることが解った。そして、女性74例(左右側で148側)を対象として、歯科医師3名(A, B, C)の観察者において下顎骨下縁皮質骨の粗造化(正常、軽度粗造、粗造)の評価を行った。そして、評価の一致性を検討するために、観察者間および観察者内のKappa値を計算した。 その結果、3名の観察者間のKappa値は1回目0.577、2回目0.584であった。また、観察者内のKappa値は観察者Aは0.664、Bは0.592、Cは0.585であり、観察者間および観察者内共に高いKappa値が得られ、中等度からかなりの範囲の一致がみられた。 定量的解析においては、歯科用コーンビームCT画像でのボクセル値は相対値であるため、それ自身は指標とはなり得ない可能性が高いことが解った。そこで、オトガイ孔下方の下顎骨下縁皮質骨に関心領域を設定し、その変動率(SD/平均値)を算出することとした。その結果、変動率はおおよそ0.05~025の範囲に入ることが解り、高齢者で変動率の値が高い傾向が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の研究として、下顎骨皮質骨の計測部位として下縁皮質骨が最適であると考えられた。また、解剖学的指標としてオトガイ孔が候補であった。 そこで、令和元年度の研究として、歯科インプラント画像診断に用いた歯科用コーンビームCT画像を用いてオトガイ孔部の下顎骨下縁皮質骨を観察あるいは計測部位として視覚的評価と定量的評価を行った。視覚的評価では、観察者は歯科医師3名で、粗造化を正常、軽度粗造、粗造の3タイプに分類した。その結果、観察者間(interobserver)および観察者内(intraobserver)共に高いKappa値が得られた。また、定量的評価では、オトガイ孔部の下顎骨下縁皮質骨に関心領域を設定し、その変動率(SD/平均値)を算出したところ、変動率はおおよそ0.05~0.25の範囲に入ることが解った。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においては、令和元年度の研究において、定量的解析では得られた変動率の値は高齢者で高い傾向が示された。そこで変動率(SD/平均値)を用いた定量的評価方法を歯科インプラント画像診断に用いた歯科用コーンビームCT画像の多くの患者データに応用することとしている。また、下顎骨横断画像の構築方法の系統的な構築方法の確立を目指していくこととしている。 さらには、歯科用コーンビームCT画像の解像度と定量的解析の指標である変動率との関係を検討することとしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していたより消耗品費を抑制することができた。研究を遂行しているにあたり、定量的評価における変動率は歯科用コーンビームCT画像の解像度に影響を受ける可能性が生じた。そこで、歯科用コーンビームCT画像の解像度を計測できるファントムの購入を予定している。
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