研究実績の概要 |
高齢化社会の進展に伴って必然的に増加する認知症高齢者は、2025年(平成37年)には約780万人に達すると推計されており、認知症対策、特にその予防に対応した研究が急がれている。本研究では、認知症予防の有望な戦略の一つとされる栄養的アプローチの有用性を、地域一般住民から得られた咬合や義歯使用状況、歯周状態ならびに栄養状態と認知機能に関連する脳の形態変化との相互の関連に基づく前向きコホート集団のベースライン調査データを利用して横断的に検証することを目的としている。本年度は、義歯の使用状況を含む口腔内所見、栄養摂取、認知機能(MMSE)のデータクリーニングを行った。併せて、脳MRI画像を解析するためのソフトウエアの導入と、脳MRI画像データのデータクリーニングを行った。研究対象集団は、東北メディカル・メガバンク計画の地域住民コホート調査(約8万人)および三世代コホート調査(約7万人)の参加者のうち、歯科検診を受診し、かつ脳のMRI撮影を受けたものから、宮城県内に在住の40歳以上の地域住民4,000人を抽出した。本年度は、以下に重点をおいたデータクリーニングを行った。①歯科検診により、歯周病(歯周ポケット長、アタッチメントレベル、プロービング時の出血)、および歯数、DMF、咬合接触、義歯使用の有無、②歯科問診および摂取食品アンケートから算出された咀嚼困難度、③3.0T MRI脳画像から、画像処理ソフトウエアを用いて算出された内側側頭部(海馬・扁桃・嗅内野の大部分)の体積。④MMSE。その他、年齢、性、BMI、喫煙、飲酒、および糖尿病、高血圧、脳卒中などの認知機能に影響を及ぼすと考えられる疾病の既往歴等も調整項目として使用可能かを検討した。
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