研究課題/領域番号 |
18K09651
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
依田 信裕 東北大学, 大学病院, 講師 (20451601)
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研究分担者 |
伊藤 浩之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40451992)
末永 華子 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00508939) [辞退]
川田 哲男 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (80292225)
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 咬合力 / 荷重センサ / 部分床義歯 |
研究実績の概要 |
小型ウェアラブル咬合力測定器開発のための基礎設計を行った.口腔内のセンサノードは,咬合による圧力をデジタル信号に変換し無線通信で外部に送信する方式とした.安全性を考慮すると電池を実装できないため,無線給電方式を目標とした.このバッテリーレス動作を実現するための第一課題は,無線通信部の低消費電力化であるため,180nm Si CMOSプロセスで開発済の低電力インパルス無線送信機の利用可能性について検討した.3kbpsの場合の消費電力は0.34μWであり,これはコイル等での無線給電により十分供給可能であると考えられた.出力電力は-45.7dBmであり,電力効率は7.8%であった.また,出力電力のピークは-66.4dBm/MHzであり微弱無線局の規定を満たしていることを確認した.したがって,消費電力や送信電力の観点では口腔内センサノードに利用できる技術であると考えられた.本送信機の出力インパルスの中心周波数は約700MHz,帯域は約200MHzであり,アンテナを設計したところ数十cm角となった.したがって,口腔内で利用できるようにするためにはアンテナの小型化が必須であり,小型コイルによる磁界結合を利用する,あるいは高周波化するといった検討が必要であることが明らかになった. しかしながら,咬合力センサ自体の開発は現時点では達成できておらず,その準備として本年は,より消費電力の小さい加速度センサを使用した下顎運動測定装置を開発し,測定方式の開発の一助とした.構成は,9軸センサモジュール(MPU-9250(InvenSense Inc., CA, USA))を簡易型ヘッドギアと自作のオクルーザルスプリントにそれぞれ一つずつ装着することで,下顎運動の3軸方向の電圧信号を解析し,加速度を計測することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
義歯床下に加わる荷重測定装置に装着するセンサ部分の開発が,当初の予定より遅れている.圧電素子を用いたフィルムを義歯に組み込む方式を整えれば,予定通りの進捗すると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
端緒として,下顎運動加速度測定装置のウェアラブル化を試みる.アンテナの小型化のため,小型コイルによる磁界結合を利用する,あるいは高周波化するといった検討を行う.これらが実施可能となれば,目的である義歯床下荷重・咬合力測定装置への応用に着手する. その後は,開発した測定装置の出力特性の検証として,顎模型を用いベンチテストを実施する(東北大学大学院歯学研究科にて).具体的には,1)下顎歯形模型(Nissin社製)を使用し,万能試験機 (Instron 5685)により負荷を加え,既知の荷重量と開発したセンサの出力の相関を分析する,2)0~100 Nの荷重の脱負荷を繰り返し,センサ出力に対するヒステリシスの影響を算出する,3)室温(約25 ℃)から口腔内温度(約37 ℃)までの範囲において,センサ出力に対する温度の影響を算出する,4)出力特性を基に,多様な方向の力に対応可能なセンサの口腔内設置に対する最適方法を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はほぼ計画通りに使用できたが,測定装置自体の開発が遅れたため,実験の一部が実施できず,当該助成金が生じた。次年度は請求した助成金と合わせて,本年度実施できなかった測定装置校正実験を実施するために運用予定である.
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