研究課題/領域番号 |
18K09657
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
金谷 貢 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40177499)
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研究分担者 |
木村 勇雄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00169921)
伊藤 圭一 明倫短期大学, 歯科技工士学科, 講師 (60389955)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | CAD/CAM / 接着 / 低エネルギー電子線 |
研究実績の概要 |
市販の歯科切削加工(CAD/CAM)用レジンブロック3種類(ジーシー セラスマート300,松風 ブロックHCハード,ヤマキン KZR-CAD HR ブロック3 ガンマシータ)から旋盤により削り出した円盤状試料を、耐水研磨紙を用いて#2000まで研磨して,追加試料を作製した. 当初,使用を予定していた,低エネルギー電子線(LEB)照射装置が使用不能になったため,LEB照射は外部委託することにして業者選定作業を行い,浜松ホトニクスに決定した.実際のLEB照射は次年度に行うことになった. また,本研究を支援する実験として,臨界ミセル濃度の評価において表面張力測定法を補完する手法である色素可溶化法に関する実験を行った.前年度に確立された,ドデシル硫酸ナトリウムを用いた色素可溶化法で臨界ミセル濃度を求める手法を基に,油溶性界面活性剤Span80,油相媒体シクロヘキサンを用いて油溶性界面活性剤の臨界ミセル濃度を求める研究を行い,溶液として色素を用いる色素可溶化法は油溶性界面活性剤にも応用できることが明らかになった. さらに,CAD/CAM用レジンブロックにLEB照射をした場合の接着強さを比較する対照として,金合金や金銀パラジウム合金の鋳造体を用いる場合,その表面に生成する酸化銅の被膜は接着強さに影響すると考えられるため,酸化銅(Ⅰ)および酸化銅(Ⅱ)のいずれが接着強さに対して支配的であるかを明らかにする実験を計画し,純銅の円盤状試料を作製した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初,低エネルギー電子線(LEB)照射に使用する予定であった,明倫短期大学(新潟市)の装置が使用不能になったこと,およびLEBを照射する実験を他県で行う予定を立てたものの新型コロナウィルスの感染拡大により,他県への移動に対する職場からの制限や自粛要請によって令和2年度中に照射を行うことができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
市販の歯科切削加工(CAD/CAM)用レジンブロック3種類から削り出し,耐水研磨紙#2000まで研磨した円盤状試料について以下を行う. 浜松ホトニクスに委託して,低エネルギー電子線(LEB)照射装置により,LEB照射を行う.LEB照射無しのものも用意して対照とする. 分析・観察・試験等は以下を行う.電子線マイクロアナライザーによる表面マッピング分析と表面微細構造観察,表面粗さ測定器による表面粗さ測定,液滴法による接触角の測定,市販の接着性レジンにより接着した試料のインストロン型材料試験機によるせん断接着強さ試験,接着強さ試験後の破面観察. 接着強さおよび接着強さ試験後の試料観察から得られたデータをとりまとめ,CAD/CAM用レジンの接着性に対するLEB照射の有効性を判定する.LEB照射が有効である場合はその理由について,CAD/CAM用レジンの有機質成分のレジンと無機質成分のフィラーの表面がどのように改質されることで接着性向上に寄与しているかを,表面分析,表面微細構造観察,表面粗さ測定および接触角測定の各結果から考察する. CAD/CAM用レジンの接着性に関する成果をJADRおよび日本歯科技工学会で発表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大により,予定していた他県での低エネルギー照射実験が,職場からの移動制限や自粛要請によって行うことができなかったため,照射実験の予算が残り次年度使用額が生じた.この照射実験は次年度に行うことになったため,次年度使用額を使用する予定である.
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