低エネルギー電子線(LEB)照射がCAD/CAM用コンポジットレジンの接着強さにおよぼす影響について調べた。CAD/CAM用コンポジットレジンとして3種類を供した(ジーシー セラスマート UNIVERSAL、YAMAKIN KZR-CAD HR3 GAMMATHETA、松風 BLOCK HC HARD)。それぞれのコンポジットレジンに対してLEB照射しないもの(LEBなし、Control)と照射したもの(LEBあり)を用意した。LEB照射は吸収線量5000 kGyとした。 蒸留水の接触角測定:マイクロシリンジで5 μLの液滴を各コンポジットレジン表面に静かに置き、横方向から撮影した液滴の画像から液滴の直径(2a)と高さ(h)を測定して、接触角θ=2arctan(h/a)より求めた(n=3)。せん断接着強さの測定:直径6 mm、高さ5 mmの銅製円柱にV-プライマー(サンメディカル)を塗布し、スーパーボンド(同)で各CAD/CAM用コンポジットレジンに接着、固定した。接着して30-60分経過後に、37℃蒸留水に24時間浸漬してからせん断試験を行い、せん断接着強さを求めた(n=5)。 得られた結果から、各コンポジットレジンのLEBありとなしについて平均値と標準偏差を求めた。また、LEBありとなしについて、Welchの検定を行った(有意水準5%)。 蒸留水の接触角はLEBなしが62-72°、LEBありが19-22°であり、LEB照射をすると有意に接触角は小さく、すなわち濡れが良好になった。せん断接着強さはLEBなしが14-23 MPa、LEBありが27-34 MPaであり、LEB照射をすると有意にせん断接着強さは大きくなった。 LEB照射は装置を有する企業に照射を依頼することを想定して、照射後50時間以上経過してから実験を開始したが、十分有効であることが明らかになった。
|