研究課題
本研究では,大人数の地域在住高齢者を対象に,調査から得られた縦断データを用いて欠損部位やパターンの変化について検討するとともに,欠損パターンと口腔機能,QOLや全身状態との関連を検討することを目的としている.2021年度は,感染対策に十分配慮したうえで,前年度から延期されていた80歳群ならびに90歳群に対する会場調査を行った.2022年3月末までに,266名(80歳群165名(伊丹地区77名, 朝来地区25名,板橋地区38名,奥多摩地区25名),90歳群101名(伊丹地区45名,朝来地区19名,板橋地区28名,奥多摩地区9名))の調査を実施した.SONIC研究ですでに調査を終了している70歳から90歳までの各年齢群の計約2300名分のデータに対して,本年度の新たな追跡調査(80歳,90歳群の9年経過)を追加し, 約1150名の縦断データベースを構築した.研究実績としては,高齢者の歯の喪失に関連するリスク因子について検討した.6年間のコホート調査に参加した70歳ならびに80歳の地域在住高齢者1146名のうち,ベースライン時に残存歯数が0本であった220名,データに欠損値を有していた114名を除外した812名を対象に,歯の喪失の有無を目的変数とした一般化線形混合モデルによる,ロジスティック回帰分析を行った.その結果,定期健診の間隔,咬合支持状態が,歯レベルの因子では,臼歯,歯周ポケット深さ,齲蝕,修復・補綴状態,隣在歯の欠損,対合歯の存在,義歯の使用が,歯の喪失との間に有意な関連を示した.本研究結果を基とした報告”Predictive factors for tooth loss in older adults vary according to occlusal support: A 6-year longitudinal survey from the SONIC study”は,国際雑誌であるJournal of Dentistryにアクセプトされた.
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Journal of Dentistry
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10.1016/j.jdent.2022.104088.