研究課題
本研究は、インプラント埋入で高頻度で誘発されるBRONJモデルを作製してビスフォスフォネート製剤(BP)製剤がインプラント治療に与える影響を明らかにし、QQ-MNCs移植がインプラント埋入誘発性高頻度発現型BRONJに与える影響を検索して、インプラント治療が関連するBRONJの治療法開発と治療ガイドライン作成に寄与する基盤構築を行うことを目的とした。本年度はまず、前年度に開発したインプラント周囲における高頻度発現型BRONJモデルの詳細な検討を行った。その結果、経口骨粗鬆症薬とステロイドを併用してインプラント周囲に高頻度発現型BRONJを起こした群のほとんどでは、インプラント周囲粘膜が大きく欠損してインプラント上部で骨露出が認められるとともに、インプラントに沿ってインプラント下方まで広く壊死骨が存在していた。また、インプラント上部と下部では、上部の方がより壊死骨が多く存在していた。一方、インプラント周囲より離れた部位では壊死骨は存在せず、全体としてインプラントを覆うように空の骨小腔を伴う壊死骨が認められた。また、残存しているインプラント周囲軟組織を免疫組織化学的に解析した結果、経口骨粗鬆症薬とステロイド併用群では血管形成阻害が起こっており、マクロファージの細胞挙動が変化していた。以上のことから、抜歯後に発症するBRONJでは抜歯窩上部に壊死骨が大量に認められる組織病理学的所見とは大きく異なり、インプラント周囲に起こるBRONJは、インプラント上部で発生した骨壊死がインプラントに沿って下部へと波及する可能性が強く考えられた。そしてインプラント周囲軟組織における血管形成阻害とマクロファージの挙動変化がインプラント周囲に起こるBRONJの病因となる可能性が考えられた。
2: おおむね順調に進展している
本年度までに、インプラント周囲に高頻度で発現するBRONJラットモデルを開発し、組織病理学的ならびに免疫病理学的に詳細な検討を加え、一定の結論を導くことに成功したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
昨年度と本年度でインプラント周囲に高頻度でBRONJを発現するラットモデルを開発してその組織病理的ならびに免疫病理学的な検索を終えたことから、今後は、開発したインプラント周囲に高頻度で発生するBRONJラットモデルを用いて、末梢血単核球由来細胞から5つの成長因子で作成した高機能化末梢血単核球由来細胞(QQ-MNC)を樹立・培養後に移植し、その治癒/寛解効果を肉眼的、組織学的、免疫組織化学的、遺伝子学的に検索する予定である。さらに、BRONJモデルとQQ-MNC移植による治癒寛解モデルを比較検討することで、病因に関連する分子の同定や病態に決定打を与えている分子の特定を目指す。
研究の進捗状況が順調であり、これまでの研究成果を学会で多数発表することに時間を要し、年度末に向かって実験する時間が減少したため.次年度使用額については速やかに細胞移植治療を行うための成長因子等の試薬に充てる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
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